「毛の人類史」より。

ひつじ話

歴史を通して、イギリスの名だたる政治家が王国の栄光に対する羊毛の貢献を称えている。1297年、議員である貴族たちは「王国の宝」と判じ、哲学者で議員でもあったフランシス・ベーコンは王国の「大車輪」と呼び、国王ジェームズ二世は「この王国の最も偉大かつ最も収益性の高い商品」と宣言した。

(略)

洗浄後の羊毛はまず、規則正しく並んだ硬い針で覆われている板に置かれる。この板は「カード card」と呼ばれるが、この名前は古代ローマ人が羊毛を梳かし、もつれをほぐすのに利用したラシャカキグサの乾燥させた棘だらけの頭状花に由来する。古代ローマ人がこの植物を「カーデュウス carduus」と呼んでいたからである。

(略)

1480年にフランス王ルイ11世によって規格が統一された最初のテニスボールは、皮革のカバーのなかに毛や羊毛がぎっしりと詰め込まれたものだった。18世紀になる頃には、皮革のカバーは細長い羊毛フェルトをつなぎ合わせたものになったが、なかにはあいかわらず毛や羊毛がぎっしりと詰められていた。

「毛の人類史」

「毛」にまつわる興味深いエピソードが満載の「毛の人類史」から、羊毛関連の話題をいくつか。

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「ウェールズ国立美術館所蔵 ターナーからモネへ」展。

ひつじ話

愛知県岡崎市、岡崎市美術博物館にて開催中の、「ターナーからモネへ」展に行ってきました。

会期 平成29年9月23日(土・祝)─平成29年11月12日(日)

開館時間 午前10時─午後5時(入場は午後4時30分まで)

休館日 毎週月曜日

岡崎市美術博物館公式HP 内 「ターナーからモネへ」展

ジャン=フランソワ・ミレーの「座る羊飼い」、ギュスターヴ・クールベの「ベアトリス・ブーヴェ」他、数頭のヒツジが見られます。

こちらの展覧会は、この後、

静岡市美術館 2017年11月23日(木・祝)─2018年1月28日(日)

福井県立美術館 2018年4月7日(土)─5月27日(日)

に、巡回予定の模様。ぜひ。

おまけ。岡崎市美術博物館は高台にあって、岡崎の街並みが見下ろせます。夕暮れ時は、今しがた観たモネの絵のごとき色合いに。

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愛知県半田市の山車まつりを見てきました。

ひつじ話

祭礼などで町を練り歩く山車。この山車に施された彫刻に、時々ヒツジがひそんでいます。

これまでに、高山祭の豊明台大垣まつりの相生やまと榊やまをご紹介したことがあるのですが、このたびは、愛知県半田市の「はんだ山車まつり」を見物してまいりました。

はんだ山車まつり公式HP

目当ては、岩滑地区の「義烈組八幡車」を飾る十二支です。

さて。……どこなんだ、義烈組。

半田市内にある31輛の山車が揃い踏みするという、とんでもなく大掛かりなお祭りです。オロオロと歩きまわった末に、……あ、なんかそれっぽいものが!

さらにアップ。

ヒツジです。明治初期の作らしく、ほぼ山羊に見えますが、十二支のなかに混じってるのでヒツジです。

岩滑地区の本来の祭礼は毎年4月に行われているとのことなので、来年、ゆっくり見に行くのも良いかもしれません。

なお、今回は時間切れで確認をあきらめたのですが、半田の山車には、こちらの義烈組八幡車のほかにも、黄初平をあしらったものが存在しているはずなのです。いずれご報告できると良いのですが。

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ツュンベリー 「江戸参府随行記」

ひつじ話

バタビアから毎年当地に運ばれてくる子牛、雄牛、豚、山羊、羊、雄鹿などの家畜が、まず船からおろされた。日本ではこのような家畜を手に入れ屠殺することはできないので、ヨーロッパ人は、相当数を船で運んで来ざるを得ない。一部は商館の新鮮な食料用であり、一部は帰帆での食料用である。

家畜は出島の家畜小屋にずっと繋がれている。小屋は、夏は開放され、冬は閉じられている。家畜には草や葉を与える。その草葉は日本人の作男が日に三度、長崎の町周辺から集めて持ってくる。冬期の主な家畜飼料は穀類、樹の小枝そして古い藁である。

(略)

羊や山羊はいない。山羊は耕作地を滅茶苦茶にしてしまうし、当地では木綿や絹が羊毛の代用をはたしている。私のオランダ商館滞在中に、数人の日本人が何頭かの羊を連れて出島にやってきたことがある。何年間も預かっている羊であるという。預けたのはバタビアへの旅に出たあるオランダ商館長であるが、とうとう商館長は戻ってこなかったのである。

「江戸参府随行記」

18世紀スウェーデンの博物学者カール・ツンベルク(ツュンベリー)による、江戸期の日本滞在記から。出島で飼ってるんですね、ヒツジ。

なお、ツュンベリーと交流のあった桂川甫周、出島の三学者の先達であるケンペルをご紹介したことがありますので、ご参考にぜひ。

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ゴヤ 「赤い礼服の国王カルロス4世」

ひつじ話

「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展カタログ

18世紀スペイン、フランシスコ・デ・ゴヤの「赤い礼服の国王カルロス4世」を。胸元に金羊毛騎士団勲章がかけられています。

これまでにご紹介している、金羊毛騎士団勲章を下げた王侯貴族たちの肖像画は、こちらで。

ゴヤの作品については、こちらでぜひ。

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中央アジアの騎馬競技。

ひつじ話

名馬の産地の一つであるキルギスで、獲物を集団で奪いあう競技はキョクボル(蒼き狼の意)と称ばれている。頭と四肢を切り落した山羊を奪いあう伝統的な競技であるが起源は不明である。山羊の屍体は20キロから大きいものは30キロもあり、かなりな体力を要するという。

(略)

南のアフガニスタンでは集団で獲物を奪いあう競技をブズカシといい、「馬に乗った二つのチームが一頭の羊を奪い合って、ゴールにもたらせば一点を得るというルールで、騎馬のラグビーといえる」(寒川恒夫「騎馬のゲーム」『民族遊戯大事典』)ものである。羊は四肢を切り落したものが使われている。

アフガニスタン北部では同様の競技をカラジャイ(同書の松井健氏の報告)と称ぶように、中央アジアの各地では、各々の民族が異なった名前を付けているが同様の競技がある。

(略)

キルギスでは1998年にキョクボル競技連盟が結成され、ルールも定められた。

「盤上遊戯の世界史 – シルクロード 遊びの伝播」

遊戯の歴史を網羅した「盤上遊戯の世界史」を読んでおりましたら、ポロを扱った一章に、ヒツジを「ボール」にした騎馬競技についての解説がありました。。現在も盛んに行われているスポーツなのですね。

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愛知県美術館 「大エルミタージュ美術館展」。

ひつじ話

せっかくのお盆休みなのにお天気が微妙なこの数日。こんなときのお出かけ先には美術館が最適だと思うのですが、いかがでしょう。

というわけで、愛知県美術館で9月18日まで開催中の「大エルミタージュ美術館展」に行ってまいりました。

大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち

会期 2017年7月1日(土)─9月18日(月・祝)

会場 愛知県美術館 (愛知芸術文化センター10階)

開館時間 10:00-18:00 金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)

休館日 毎週月曜日(ただし、8月14日(月)、9月18日(月・祝)は開館)

愛知県美術館公式HP 内 大エルミタージュ美術館展

いやいやこれがもう、ヒツジ度、高いです。

ムリーリョの「幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ」、アルベルト・カイプ(?)「川沿いの夕暮れ」、ヤン・ブリューゲル(1世)「魚の市場(ペテロとアンデレの召命)」、ブーシェの「エジプト逃避途上の休息」等々、多くの作品にヒツジがひそんでました。

こちらの展覧会は、このあと、兵庫県立美術館に巡回が予定されています。

会期は、2017年10月3日(火)─2018年1月14日(日)。

お近くならば、ぜひきっと。

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加彩十二生肖(続き)

ひつじ話

唐時代 高20─27.5センチ

1955年─1956年陝西省西安唐墓出土 陝西省博物館蔵

史書によれば、「十二生肖」は後漢に始まる。これは12種の動物を十二支に配当したもので、「十二相属」とも呼ばれた。しかし、1975年湖北省雲夢睡虎地11号秦墓出土の竹簡の「子は鼠なり」「丑は牛なり……」の記事によれば、十二生肖の説はずっとさかのぼり戦国時代にすでに存在したことになる。

「中国陶俑の美」展カタログ

以前ご紹介したことのある、加彩十二生肖像の別バージョンを。

十二支と動物の対応を前提とした記事は、「論衡」が最初だとずっと思いこんでたんですが、違うんですか!?

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ヤコポ・バッサーノ 「春」

ひつじ話

「ボルゲーゼ美術館展」カタログ

16世紀イタリア、ヤコポ・バッサーノの「春」を。

ヤコポ・バッサーノは、これまでにいくつかをご紹介しています。こちらでぜひ。

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十二支図三所物。

ひつじ話

赤銅・金 十二支図三所物(みところもの) 後藤光孝

「アニマルランド 東アジアの美術に見る動物表現」展カタログ

18世紀の刀装具を。

後藤家十三代の光孝(延乗)による三所物(小柄、笄、目貫)。小柄に、午や申とともに未があしらわれています。東京国立博物館蔵。

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ヒツジの表情を読む分析ツール。

ひつじ話

野原で草を食んでいるヒツジは穏やかそうに見えるかもしれないが、その顔つきから多くのことが分かる可能性があるとする英科学者チームの研究報告が発表された。

チームは、ヒツジが痛みを抱えているのか、それとも単に悲しく感じているだけなのかを解き明かすための分析ツールを開発したという。

(略)

研究チームは今後、この手法をウマ、ウサギ、一部のげっ歯類などを含む他の動物種に拡張したいと考えている。

また飼育施設の中にカメラを設置することで、農場経営者らが外傷や病気を早期に発見し、最適な治療法を施す上で、このテストが助けになることにも期待を寄せている。

AFP BBNEWS 2017年06月02日付記事

ak様から、英ケンブリッジ大学の研究チームによるヒツジの表情分析ツール開発のニュースを教えていただきました。ありがとうございます。

痛がっている子を速やかに見分けられるようになるのは、動物を飼う人間にとって、本当にありがたいことです。研究の進展を期待します。

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中国の青銅羊。

ひつじ話

青銅 羊 三国─南北朝時代 高5.3 和泉市久保惣記念美術館

「アニマルランド 東アジアの美術に見る動物表現」展カタログ

三国から南北朝時代の青銅の羊です。副葬品であろうとのこと。おっとりした感じが良いです。

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カレル・チャペック 「ユライ・チュプのバラード」

ひつじ話

明け方近くになって酒場の表に出ると外はものすごい寒さで、雪がぱりんぱりんに凍り、ガラスがぶつかり合うかのような鈴の音をたてるほどでした。

するとどうです、そのけちな安酒場の前には例のウクライナ人がカルパチア山麓人特有の民族衣装の白いズボンに白い雪ぐつをはき、白い羊の毛皮にくるまって立っていました。

(略)

こうして、やがて村長はわたしたちをふたたび自分の住まいへ招きました。

すると、そこには、すでに毛皮を着た十一人の男たちが集まっていました─この羊の毛皮がどんなに臭うか、みなさん方にはとても想像できないでしょうよ。

ですから、そこにはなんとなく陰鬱で、旧約聖書の世界を思わせる古色蒼然とした厳粛な雰囲気が支配していました。

「ありふれた殺人─カレル・チャペック短編集3」

 

カレル・チャペックの短編集から。

山奥の寒村から吹雪をおして憲兵のもとへ現れた男は、自らを殺人犯と名乗ります。命をかけた自首の意味するものはなんだったのか。

カレル・チャペックは、以前、「オランダ絵図」をご紹介しています。ご参考にぜひ。

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ジャン=ルイ・ド・マルヌ 「水車小屋」

ひつじ話

「馬 華麗なる友 馬と人間の美術史」展カタログ

18世紀の動物画家、ジャン=ルイ・ド・マルヌの「水車小屋」を。

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おかざき世界子ども美術博物館、「木のどうぶつたち」展。

ひつじ話

愛知県岡崎市、おかざき世界子ども美術博物館まで、彫刻展を見に行ってまいりました。

 

この展覧会では、「生きる」をテーマに、はしもとみおさんが一本の丸太から生み出した、今にも動き出しそうなほど本物そっくりの動物たちが大集合します。

期間 平成29年4月22日(土)─6月25日(日)

休館日 毎週月曜日

開館時間 9時─17時(入館は16時30分まで)

岡崎市公式HP おかざき世界子ども美術博物館

内 はしもとみお彫刻の世界展 木のどうぶつたち

写真撮影可とのことで、もう大喜び。等身大の子ヒツジさんを撮りまくってきましたとも。

触っても良い作品も置かれていたのですが、こちらの子ヒツジは禁止。じっと眺めていると、毛皮のもこもこした質感があまりにみごとなので、そのうち鳴くか動くかするんじゃないかと、おかしな想像をしてしまいました。

心に残る展覧会です。ぜひ。

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