ゴヤ 「赤い礼服の国王カルロス4世」

ひつじ話

「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展カタログ

18世紀スペイン、フランシスコ・デ・ゴヤの「赤い礼服の国王カルロス4世」を。胸元に金羊毛騎士団勲章がかけられています。

これまでにご紹介している、金羊毛騎士団勲章を下げた王侯貴族たちの肖像画は、こちらで。

ゴヤの作品については、こちらでぜひ。

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中央アジアの騎馬競技。

ひつじ話

名馬の産地の一つであるキルギスで、獲物を集団で奪いあう競技はキョクボル(蒼き狼の意)と称ばれている。頭と四肢を切り落した山羊を奪いあう伝統的な競技であるが起源は不明である。山羊の屍体は20キロから大きいものは30キロもあり、かなりな体力を要するという。

(略)

南のアフガニスタンでは集団で獲物を奪いあう競技をブズカシといい、「馬に乗った二つのチームが一頭の羊を奪い合って、ゴールにもたらせば一点を得るというルールで、騎馬のラグビーといえる」(寒川恒夫「騎馬のゲーム」『民族遊戯大事典』)ものである。羊は四肢を切り落したものが使われている。

アフガニスタン北部では同様の競技をカラジャイ(同書の松井健氏の報告)と称ぶように、中央アジアの各地では、各々の民族が異なった名前を付けているが同様の競技がある。

(略)

キルギスでは1998年にキョクボル競技連盟が結成され、ルールも定められた。

「盤上遊戯の世界史 – シルクロード 遊びの伝播」

遊戯の歴史を網羅した「盤上遊戯の世界史」を読んでおりましたら、ポロを扱った一章に、ヒツジを「ボール」にした騎馬競技についての解説がありました。。現在も盛んに行われているスポーツなのですね。

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愛知県美術館 「大エルミタージュ美術館展」。

ひつじ話

せっかくのお盆休みなのにお天気が微妙なこの数日。こんなときのお出かけ先には美術館が最適だと思うのですが、いかがでしょう。

というわけで、愛知県美術館で9月18日まで開催中の「大エルミタージュ美術館展」に行ってまいりました。

大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち

会期 2017年7月1日(土)─9月18日(月・祝)

会場 愛知県美術館 (愛知芸術文化センター10階)

開館時間 10:00-18:00 金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)

休館日 毎週月曜日(ただし、8月14日(月)、9月18日(月・祝)は開館)

愛知県美術館公式HP 内 大エルミタージュ美術館展

いやいやこれがもう、ヒツジ度、高いです。

ムリーリョの「幼子イエスと洗礼者聖ヨハネ」、アルベルト・カイプ(?)「川沿いの夕暮れ」、ヤン・ブリューゲル(1世)「魚の市場(ペテロとアンデレの召命)」、ブーシェの「エジプト逃避途上の休息」等々、多くの作品にヒツジがひそんでました。

こちらの展覧会は、このあと、兵庫県立美術館に巡回が予定されています。

会期は、2017年10月3日(火)─2018年1月14日(日)。

お近くならば、ぜひきっと。

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加彩十二生肖(続き)

ひつじ話

唐時代 高20─27.5センチ

1955年─1956年陝西省西安唐墓出土 陝西省博物館蔵

史書によれば、「十二生肖」は後漢に始まる。これは12種の動物を十二支に配当したもので、「十二相属」とも呼ばれた。しかし、1975年湖北省雲夢睡虎地11号秦墓出土の竹簡の「子は鼠なり」「丑は牛なり……」の記事によれば、十二生肖の説はずっとさかのぼり戦国時代にすでに存在したことになる。

「中国陶俑の美」展カタログ

以前ご紹介したことのある、加彩十二生肖像の別バージョンを。

十二支と動物の対応を前提とした記事は、「論衡」が最初だとずっと思いこんでたんですが、違うんですか!?

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ヤコポ・バッサーノ 「春」

ひつじ話

「ボルゲーゼ美術館展」カタログ

16世紀イタリア、ヤコポ・バッサーノの「春」を。

ヤコポ・バッサーノは、これまでにいくつかをご紹介しています。こちらでぜひ。

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十二支図三所物。

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赤銅・金 十二支図三所物(みところもの) 後藤光孝

「アニマルランド 東アジアの美術に見る動物表現」展カタログ

18世紀の刀装具を。

後藤家十三代の光孝(延乗)による三所物(小柄、笄、目貫)。小柄に、午や申とともに未があしらわれています。東京国立博物館蔵。

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ヒツジの表情を読む分析ツール。

ひつじ話

野原で草を食んでいるヒツジは穏やかそうに見えるかもしれないが、その顔つきから多くのことが分かる可能性があるとする英科学者チームの研究報告が発表された。

チームは、ヒツジが痛みを抱えているのか、それとも単に悲しく感じているだけなのかを解き明かすための分析ツールを開発したという。

(略)

研究チームは今後、この手法をウマ、ウサギ、一部のげっ歯類などを含む他の動物種に拡張したいと考えている。

また飼育施設の中にカメラを設置することで、農場経営者らが外傷や病気を早期に発見し、最適な治療法を施す上で、このテストが助けになることにも期待を寄せている。

AFP BBNEWS 2017年06月02日付記事

ak様から、英ケンブリッジ大学の研究チームによるヒツジの表情分析ツール開発のニュースを教えていただきました。ありがとうございます。

痛がっている子を速やかに見分けられるようになるのは、動物を飼う人間にとって、本当にありがたいことです。研究の進展を期待します。

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中国の青銅羊。

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青銅 羊 三国─南北朝時代 高5.3 和泉市久保惣記念美術館

「アニマルランド 東アジアの美術に見る動物表現」展カタログ

三国から南北朝時代の青銅の羊です。副葬品であろうとのこと。おっとりした感じが良いです。

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カレル・チャペック 「ユライ・チュプのバラード」

ひつじ話

明け方近くになって酒場の表に出ると外はものすごい寒さで、雪がぱりんぱりんに凍り、ガラスがぶつかり合うかのような鈴の音をたてるほどでした。

するとどうです、そのけちな安酒場の前には例のウクライナ人がカルパチア山麓人特有の民族衣装の白いズボンに白い雪ぐつをはき、白い羊の毛皮にくるまって立っていました。

(略)

こうして、やがて村長はわたしたちをふたたび自分の住まいへ招きました。

すると、そこには、すでに毛皮を着た十一人の男たちが集まっていました─この羊の毛皮がどんなに臭うか、みなさん方にはとても想像できないでしょうよ。

ですから、そこにはなんとなく陰鬱で、旧約聖書の世界を思わせる古色蒼然とした厳粛な雰囲気が支配していました。

「ありふれた殺人─カレル・チャペック短編集3」

 

カレル・チャペックの短編集から。

山奥の寒村から吹雪をおして憲兵のもとへ現れた男は、自らを殺人犯と名乗ります。命をかけた自首の意味するものはなんだったのか。

カレル・チャペックは、以前、「オランダ絵図」をご紹介しています。ご参考にぜひ。

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ジャン=ルイ・ド・マルヌ 「水車小屋」

ひつじ話

「馬 華麗なる友 馬と人間の美術史」展カタログ

18世紀の動物画家、ジャン=ルイ・ド・マルヌの「水車小屋」を。

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おかざき世界子ども美術博物館、「木のどうぶつたち」展。

ひつじ話

愛知県岡崎市、おかざき世界子ども美術博物館まで、彫刻展を見に行ってまいりました。

 

この展覧会では、「生きる」をテーマに、はしもとみおさんが一本の丸太から生み出した、今にも動き出しそうなほど本物そっくりの動物たちが大集合します。

期間 平成29年4月22日(土)─6月25日(日)

休館日 毎週月曜日

開館時間 9時─17時(入館は16時30分まで)

岡崎市公式HP おかざき世界子ども美術博物館

内 はしもとみお彫刻の世界展 木のどうぶつたち

写真撮影可とのことで、もう大喜び。等身大の子ヒツジさんを撮りまくってきましたとも。

触っても良い作品も置かれていたのですが、こちらの子ヒツジは禁止。じっと眺めていると、毛皮のもこもこした質感があまりにみごとなので、そのうち鳴くか動くかするんじゃないかと、おかしな想像をしてしまいました。

心に残る展覧会です。ぜひ。

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椿椿山 「十二支図帖」(部分)

ひつじ話

「渡辺崋山・椿椿山が描く花・鳥・動物の美」展カタログ

以前十二支図をご紹介した渡辺崋山の弟子に当たる、椿椿山の同じく十二支図を。

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「魏志倭人伝」

ひつじ話

禾稲(かとう)・紵麻(ちょま)を種(う)え、蚕桑(さんそう)緝績(しゅうせき)し、細紵(さいちょ)・縑緜(けんめん)を出だす。

その地には牛・馬・虎・豹・羊・鵲(じゃく)なし。

兵は矛・楯・木弓を用う。木弓は下を短く上を長くし、竹箭(ちくせん)はあるいは鉄鏃、あるいは骨鏃なり。

現代語訳

いね・いちび・麻をうえ、蚕をかい、糸をつむぎ、細紵(いちび、ほそあさの布)・縑(かとりぎぬ・きぬ)・綿を生産する。
その地には牛・馬・虎・豹・羊・鵲(こまがらす・かささぎ)はいない。
兵器には矛・楯・木弓をもちいる。木弓は下を短く上を長くし、竹の矢は、あるいは鉄のやじり、あるいは骨のやじりである。

明治のイザベラ・バードや幕末のオールコック、安土桃山時代のヴァリニャーノなどによる日本見聞記を見ているうちに、
最古の日本伝である魏志倭人伝にもヒツジへの言及があったような気がして、ページを繰ってみました。
ああ、あるある。牛馬虎豹鵲と並んでます。「いない」ことが特記される基準が、わかるようなわからないような。

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『唐詩選』より、「水鼓子」。

ひつじ話

雕弓(ちょうきゅう)白羽 猟して初めて回(かえ)れば

薄夜 牛羊 復た下り来る

夢水(ぼうすい)河辺 青草合し

黒山(こくざん)峰外 陣雲開く

美しく塗った弓、白い矢羽根の矢をたばさみ、いましも猟から帰って来れば、
夕闇はあたりを包んで、牛も羊もねぐらへと、丘の上から下りて来る。
夢水の川辺には青草が一面に茂り、
黒山の峰のかなたには、戦雲も散り去った。

唐代の漢詩を。張子容の作に擬される「水鼓子」です。
同時代の漢詩は、李白を時々ご紹介しております。こちらでぜひ。

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『苗族民話集』より、「ラール山の白ヒツジ」

ひつじ話

ある日、ひとりの天女がラール山の上を通りかかった。
ふと下をみると、ミャオ族の村々では、ニワトリ、アヒル、ウシなどを飼っているのに、なぜかヒツジだけは一頭も見あたらない。
そこで、産土神を呼んで尋ねてみた。産土のいうことに、
「そりゃ、ラール山があんまり高くてけわしいでのう、ヒツジがようのぼらぬ、それだけのことですわい」

こう聞いた天女、ついと手をのばして浮雲をつかみ、鋏で子ヒツジの形にきりぬいた。
それをふところに入れてあたためる。
と思うまに、めぇーめぇー、ヒツジは鳴き声をあげた。
天女がそっと手をはなすと、白い子ヒツジは二頭ならんでフワリフワリと空にただよい、やがてラール山へとおりたった。

(略)

おとなになった二頭のヒツジは、朝日がのぼるごとに、あたり一面に、羊毛を雪のように舞わせた。
はじめ村人は冬毛がおちるのだと思った。
ところが、ひろって見てみると、家ではなくて、なんと銀だった。

先日の「中国昔話集」に続いて、「苗族民話集」を読んでみました。
天女から贈られたヒツジは村人たちに富をもたらしましたが、富は麓からトラブルをも呼び寄せてしまいます。村人とヒツジは、対抗してたたかうのですが……?

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