『夫木和歌抄』の「羊の歩み」。

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『夫木和歌抄』巻二十七動物部には「羊」題は立てられていないものの、巻十九の「煙」題には「羊の歩み」が詠まれている。
この慣用句は後崇光院たちも先刻承知の表現であった。
六帖題、  光俊朝臣
もえつづくかうの煙のときうつりひつじのあゆみけふも程なし
(『夫木和歌抄』巻十九雑部一「煙」)
(略)
後崇光院たちは様々な文献を参照し、あるいは既に自らの血肉と化した素養に基づいてこの絵巻を制作しているが、『夫木和歌抄』はまさに院の身辺にあって活用された一書であった。

以前ご紹介した、『十二類絵巻』のお話の続きを。
その制作にかかわったとされる後崇光院と参照された類題集『夫木和歌抄』について論じた、こちらの「異類の歌合」に、羊の詠んだ歌と関係するとおぼしき一首が挙げられています。
「羊の歩み」というテーマについてはなんどかお話しておりますので、こちらで。

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ハウツィンガー 「マリー・アントワネット、フランス王ルイ16世とマクシミリアン大公」

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末の息子マクシミリアン大公が、ヴェルサイユ宮殿にて、姉マリー・アントワネットおよび義兄でフランス王、ルイ16世と出会う場面を主題に制作された。
後にドイツ騎士団団長、選帝侯およびケルン大司教となるマクシミリアンは、1774年、見聞を広めるべく教養旅行に出かけ、オーストリア領ネーデルラントとフランスを訪れたのである。

 「マリア・テレジアとシェーンブルン宮殿」展カタログ 

マリア・テレジアの命を受けてヨーゼフ・ハウツィンガーによって描かれた、「マリー・アントワネット、フランス王ルイ16世とマクシミリアン大公」です。ルイ16世の胸元に金羊毛騎士団勲章が下がってます。
ルイ16世は、ジョゼフ・デュプレシの肖像画をご紹介しています。

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ヨハン・クリスティアン・フォラート 「昼」

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フォラートは自然の中の大気の現象を綿密に観察し、色彩については17世紀のオランダの画風を手本とした。
(略)
ドレスデンでは、フォラート以後、一日の複数の時間帯をテーマにして全体として一つのまとまりとする作品群が独自に発展し、アントーン・グラフ、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ、フィーリプ・オットー・ルンゲが作品を残している。

 「ドイツ・ロマン派絵画展」カタログ 

18世紀ドイツ、ヨハン・クリスティアン・フォラートの「昼」です。引用にあるカスパー・ダーヴィト・フリードリヒについては少しだけお話しておりますので、こちらで。

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愛知県美術館 「ロイヤル・アカデミー展」

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愛知県美術館で、「華麗なる英国美術の殿堂・ターナーからラファエル前派まで ロイヤル・アカデミー展」が始まりました。
ひつじ度高めです。
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ロイヤル・アカデミー展
会期  2015年2月3日(火)~4月5日(日)
会場  愛知県美術館 [愛知芸術文化センター10階]
開館時間  10:00~18:00 金曜日は20:00まで (入館は閉館30分前まで)
休館日  毎週月曜日

以前ご紹介した、ローレンス・アルマ=タデマの「神殿への道」が展示されているほか、ゲインズバラフィリップ=ジャック・ド・ルーテルブールによる、羊のいる風景画もありました。
ご縁があれば、ぜひとも。

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根津美術館 「動物礼讃」展

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特別展 動物礼讃
大英博物館から双羊尊がやってきた!

2015年1月10日(土)~2月22日(日)
未年にちなみ、羊をはじめとする動物モチーフを扱った絵画・工芸の作品約70件をご覧いただく特別展「動物礼讃 ―大英博物館から双羊尊がやってきた!」を開催いたします。
休館日 月曜日
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

以前、双羊尊を観に行った東京の根津美術館に、大英博物館の双羊尊がやってきて一緒に並んでるらしいです。
じっさいに観に行ってからご報告したかったのですが、会期も短いので、お知らせだけでも。お近くのかたはぜひぜひ!

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曹源寺の十二神将立像

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さて、鉈薬師の十二神将像をご紹介したところで、そういえば、先日の東京国立博物館でも立派なものを見ていたと気が付きまして、撮っておいた写真を引っぱりだしてまいりました。
横須賀市の曹源寺に伝来した十二神将が博物館に寄託されて、本館に並んでいます。
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「未」像の頭上に、ヒツジらしきなにかが。

重要文化財 十二神将立像
木造、彩色、玉眼
鎌倉時代・12~13世紀
神奈川県横須賀市の曹源寺に伝来した像。
鎌倉初期の運慶派の清新な作風をしめす。

 東京国立博物館本館解説パネルより 

東京国立博物館公式HP 内 本館11室
曹洞宗東光山曹源寺 公式HP

ご縁があれば、ぜひ。

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円空の十二神将。

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名古屋市は覚王山にある、日泰寺の縁日に行ってきました。
広い境内や参道を埋める屋台を冷やかすだけでも楽しいのですが、今回の目的は、日泰寺の少し先にある「鉈薬師」こと医王堂です。
こちらのお堂は鉈彫りの円空仏と伝えられる十二神将像などで知られており、毎月21日の縁日に一般公開が行われています。

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鉈薬師(医王堂)
明の帰化人、張振甫ゆかりの寺で正式名称は医王堂。円空鉈彫りの十二神将が有名。毎月21日の日泰寺の縁日の日だけ扉を開く。

こちらが医王堂。中は、残念ながら撮影禁止でした。上に引用した名古屋観光情報の写真に「未」も写ってますので、ご参考に。
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十二神将像は興福寺の木造十二神将立像を、円空仏は同じく名古屋の荒子観音をご紹介したことがあります。ご縁があれば、ぜひ。

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ターナー 「南から見たソールズベリ」

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《ソールズベリ》は(略)、ターナーが手懸けた最も大規模で野心的な水彩画シリーズに属している。
この計画は版画家兼出版家のチャールズ・ヒースが考えた事業に拠っている。
すなわちヒースは1826年に、ターナーに120点の素描を依頼したが(その主題はターナー自身が選んだ)、それを版画にして、『イングランドとウェールズのピクチャレスクな景観』として出版するというのであった。

 「ターナー展」(1986年)カタログ 

ウィリアム・ターナーの水彩画「南から見たソールズベリ」です。同じシリーズで、「ヴァレ・クルージス修道院、デンビシャー」をご紹介しております。

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東京駅丸の内駅舎の干支レリーフ。

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さて、国立博物館のほかにじつはもうひとつ、東京でひつじな物件を見てきておりましたので、そちらもご報告を。
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というわけで、東京駅、丸の内口にやってきました。
保存・復原工事を終えた丸の内駅舎南北両ドームに立って天井を見上げると、十二支のうち八支の動物を描いたレリーフを確認することができます。もちろん、確認せずに通り過ぎるわけにはいきません。
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未は南西方向のはず……ああ、ありました。デザインは南北どちらのドームも同じですね。
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戦災で焼け落ちる前までは中央に換気口を配した中心飾り、放射状に延びた格天井、その先端に翼を広げた八羽の鷲、その下の八面の壁にはアーチ状の飾り、中央には秀吉の兜をモチーフにしたキーストーン、各コーナーには方位を示す八支の干支、その他鏡と剣などのレリーフで華やかに装飾されていた。
しかし、1945(昭和20)年5月25日の空襲により、ドーム屋根は焼け落ち、装飾類も炎に包まれ被災した。

 東京ステーションギャラリー「東京駅100年の記憶」展カタログ 

ドームの中を通られるときは、ぜひ少し立ち止まって上方をご覧くださいますよう。

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伊藤忠青山アートスクエア 「羊がいっぱい! 展」

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会期  行く年(前半) 2014年12月19日(金)?28日(日)
     来る年(後半) 2015年1月5日(月)?18日(日)
開催時間  11:00?19:00 会期中無休
会場  伊藤忠青山アートスクエア (東京都港区北青山2丁目3?1シーアイプラザB1F)
入場料  無料
35歳以下の新進気鋭若手アーティスト100人が2015年の干支である「羊」を描く、大展示会です。

東京のひつじ関連美術展絡みで、K&T様からお知らせをいただきました。ありがとうございます。
ああああ、こんな楽しそうなものがあったのですね。知っていれば、きっと東博帰りに寄って行ったものを。
こちらは来週の日曜日までのようです。お近くの方はぜひとも!

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東京国立博物館に初もうで。

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東京国立博物館の新年恒例展示「博物館に初もうで」を観に行ってまいりました。
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例によって前庭の石羊にご挨拶。「新春特別公開」って札がついてましたが、この子たち、ずっとここに常駐してますよね?

特集 博物館に初もうで ひつじと吉祥
本館 特別1室 2015年1月2日(金) ? 2015年1月12日(月)
今年の「博物館に初もうで」では、I「アジアの羊」、II「十二支」、III「日本人と羊」、IV「吉祥模様」という4つの切り口から、地中海から東アジアまでの遺物を通じて、羊と人との関係を探りながら、お正月にふさわしい作品の数々をご紹介いたします。

展示品はいろいろ。殷代の青銅器後漢の緑釉羊圏など、関連品をご紹介したことがあるものも。
伝金庾信墓護石の拓本や十二類絵詞の模本なども観ることができました。
さらに本館を出たあとも別館の東洋館へ寄り道すれば、こちらには以前モノクロ写真をご紹介したきりの揺銭樹の現物が。
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などなど、ひつじを堪能し放題なのですが、「ひつじと吉祥」展じたいはあと3日で終わってしまうようです。
東京国立博物館の所蔵品ばかりなのだし、この先も逃げやしないとは思うのですが、羊たちが一堂に会するさまはやはり眼福です。ご縁があれば、ぜひ。

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「未年計画 名古屋ひつじ物語」展

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名古屋市のヤマザキマザック美術館まで、「名古屋ひつじ物語」展を観に行ってまいりました。
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ロココやアール・ヌーヴォーをメイン展示とするたいへんエレガントな美術館なのですが、そこにヒツジ(のかたちをしたパネル)が共存しているという、不思議な夢のごとき空間が展開されています。

未年計画 名古屋ひつじ物語
2014年11月14日(金)?2015年2月15日(日)まで
ひつじ年を迎える2015年の新春にあわせてヤマザキマザック美術館では、井上信太+前田真二郎による「羊飼いプロジェクト」の軌跡をご紹介します。
「羊」が描かれたパネルを森や都市などに放牧(設置)し、写真や映像に収めて公開するこの美術作品は、日本国内にとどまらず、ドイツ、ベルギー、中華人民共和国など世界各地で行われてきました。
本展では、名古屋の観光名所や味のある路地裏など、さまざまな場所での放牧記録と合わせて、世界中で展開されてきた羊飼いプロジェクトの軌跡を公開します。
国境を越えた羊と人間の触合いは、新たな美を発見させてくれるでしょう。
【開館時間】 平日:10:00?17:30(最終入館17:00) 土日祝:10:00?17:00(最終入館16:30)
【休館日】 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日休館) 12月28日?1月3日

ご縁があれば、ぜひ。

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シャルル・ル・ブラン 「イサクの犠牲」

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「大英博物館所蔵フランス素描展」カタログ

17世紀フランス、シャルル・ル・ブランの素描「イサクの犠牲」です。左下に雄羊が。
「イサクの犠牲」モチーフについてはよくお話しておりますので、こちらで。

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「装いの美 大名のおしゃれ」展

ひつじ話

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白羊毛皮付き羽織
胴に毛の長い白羊の毛皮を、袖には銀糸を用いた緞子を、内側にはオランダ木綿を用いた絢爛豪華な羽織です。
「装いの美 大名のおしゃれ」展
大名とその子女が身にまとった装束・衣服のほか、化粧に関する調度品や、印籠・根付、簪などの手回り品などから、大名家の華麗な装いと美意識を紹介します。
会期 平成26年11月15日(土)─12月14日(日)
開館時間 午前10時─午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日

名古屋市の徳川美術館へ「装いの美」展を観に行ったら、たいへんな羽織が展示してありましたので、ご注進です。
羅紗の陣羽織のお話ならば少し前にしたことがありますが、これはフリースをそのまま使っているのですね。実用なのか、かぶいているのか、そもそもどうやって手に入れたのか。
こちらの展覧会は、12月14日(日)で終了のようです。日が迫っておりますが、お近くならば、ぜひ。

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正倉院宝物 白石鎮子(続き)

ひつじ話

このように、二体の動物が絡み合う文様は、「動物闘争文」や「動物咬噛文」と呼ばれる。
その起源については諸説あるが、紀元前七世紀頃より黒海沿岸の草原地帯を中心に活躍した遊牧騎馬民族が好んで用いた意匠とされる。
この意匠が表された遺物は広範にわたって出土しており、南ロシア一帯からアルタイ、シベリアにかけての内陸ユーラシア全域の、いわゆるスキタイ文化圏を中心に、西はドナウ川流域、東は朝鮮半島にまで及んでいる。
時代の降ったササン朝ペルシアの工芸品にも、この「動物闘争文」が取り入れられ、銀製の皿などに表されたものが見える。
(略)
なお、この宝物の名称は、明治期に行われた整理に際し、『国家珍宝帳』に「白石鎮子十六個 師(獅)子形八 牛形六 勉(兎)形二」と記されるものに比定され、命名された。
しかし、その記載品は嵯峨天皇の弘仁五年(八一四)に屏風三六帖とともに宝庫から出蔵された記録が残っている。
また、『国家珍宝帳』の注記の内容は本品を指すものとは考えがたい。
したがって、現在では別物であるという見方が有力となっており、「白石板」と呼び表す場合がある。

先月、奈良国立博物館の正倉院展に出陳されていた「白石鎮子(はくせきのちんす)」について、詳しい解説のされている本を見かけましたので、改めてもう少し。
こうしてみると、長い年月の間に混乱も多く起きているのですね。

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