「写本の文化誌」より、羊皮紙について。

それは原皮を数日間強い石灰水に浸すという科学的プロセスと、三日月型の削り刀で張り伸ばされた皮から肉の残りをそぎ落として、できる限り薄くする、インクや絵具がよく定着するように軽石でこするなど、何段階かの手作業からなる。最後の仕上げにはさまざまな混ぜ物─灰、石灰、石膏、白墨、生石灰、亜麻脂、卵白など─も使われる。

(略)

動物の仔の傷のない皮からは、しなやかで最高品質の羊皮紙が作られる。中世後期には羊の胎児から作られた羊皮紙が「処女羊皮紙」と呼ばれ、他に及ぶものなしと絶賛された。また羊皮紙を紫色に染め、金銀のインクで文字を書き入れるといった技法により、羊皮紙の価値は高められた。

「写本の文化誌─ヨーロッパ中世の文学とメディア」

中世ヨーロッパの写本について語る「写本の文化誌」から、重要な材料のひとつである羊皮紙に関するあれこれを。


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