「山海経」の脂肪尾羊。

郭璞は大月氏国には驢馬ほどもある大形の羊がおり、尾は馬の尾に似ているといっている。
カンヨウとは西アジア・中央アジアに分布していたいわゆる太尾羊のことであろう。
この種の羊は尾の付け根の両側に相当量の脂肪の塊があり、その臀部の脂肉を切り取り、それで乾肉を作るとともに、その切り口を縫合しておくと、また臀部の脂肉が旧に復するという。
カンヨウはいわば取っても取ってもいっこうに減らない脂肉の貯蔵庫だというわけである。(榎一雄「大月氏の太尾羊について」)。
銭来山麓の人びとは、セキ、つまり、厳寒時に手足に生じた皹・あかぎれなどを治すために、カンヨウの脂肉を手足に塗ったのである。

先日、「遊仙詩」をご紹介した郭璞ですが、むしろこの人物は「山海経」の注釈者としてのほうが有名なのではと気が付きまして、羊に似た怪異についてなにか言っているのではないかと解説書を開いてみましたら、ありましたありました。
以前にお話したことのある「シンヨウ」(こちらの本では「カンヨウ」になってますが、同じものかと)は、実在の脂肪尾羊と関連させて考察することが可能なようです。

ひつじ話

Posted by


PAGE TOP