アポロニオス 「アルゴナウティカ」

表一面黄金の羊皮は、一歳牛か、
それとも狩人に赤鹿とよばれる鹿の
皮ほどの大きさがあり、ずっしりと重く
房毛におおわれていた。かれの歩く足もとから、
地面がたえず強いきらめきを放った。
あるときはそれを左肩にかけ、
うなじの先から足もとまで垂らして歩き、
あるときは手に掴んで巻いた。誰か人間か神かが
かれに出あってそれを奪いはしないかとひどく恐れたからだ。
 暁が大地に広がり、かれらは一行のもとにたどり着いた。
ゼウスの稲妻のように輝く大きな羊皮を見て
若者たちは驚嘆し、めいめい立ち上がって、
それにさわり手にもちたいと望んだ

紀元前3世紀ごろの詩人アポロニオスによる「アルゴナウティカ」から。
探し求めた金羊毛皮をついに手に入れた英雄イアソンが、アルゴナウタイのもとへ帰還する場面です。
金羊毛皮については、オウィディウスの「転身物語」より「イアソンとメデア」をご覧ください。
その他に、同じく「転身物語」の「ペリアス」ギュスターヴ・モローの「イアソンとメディア」「アルゴー号乗組員の帰還」グリルパルツァー「金羊毛皮」「家畜文化史」の考察ロバート・J・ソウヤー「ゴールデン・フリース」なども合わせてどうぞ。

ひつじ話

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