2006年10月15日

●ギリシャ神話における金毛の羊

こうして音にきこえた英雄イアソンのもとに多くの艱難辛苦にたえたのち、ついに一行は、濁水みなぎるパシスの急流にたどりついた。
イアソン → テッサリアの町イオルクスの王アエソンの息子。幼時を賢者キロンにそだてられた。アエソンは、その異父の兄弟ペリアスに王位をうばわれていたが、イアソンは成人すると、ペリアスに父の王国の返却を要求した。イアソンを怖れたペリアスは、黄金の羊皮を取ってくることをかれに命じた。

かれらは、さっそく王のもとにおもむき、プリクススの牡羊の皮を所望したが、王がミニュアスの子孫たちに課した条件は、おどろくばかり苛酷な試煉であった。

プリクスス → ボエオティアの王アタマスとその妻ネペレ(雲の意)との子で、ヘレの兄弟。アタマスの二度目の妻イノの継子いじめのために、兄妹は、メルクリウス神からあたえられた金毛の牡羊にのり、空をとんでのがれた。途中でヘレは目まいがして、海に落ちた。ヘレスポントゥス(ヘレの海、の意)がそれであるという。プリクススは、コルキスに着き、アエエテス王の娘のひとりカルキオペを妻としてあたえられ、金毛の羊をユピテルに犠牲としてささげ、その皮をアエエテスに贈った。王は、マルスの森の樫の木にこれをつるして、竜に番をさせた。
金毛の牡羊 → トラキア(あるいはマケドニア)の王ビサルテスの娘テオパネは、海神に愛され、多くの求婚者たちからのがれて、クルミッサ島で牡羊と牝羊とに姿を変えて交わり、金毛の牡羊をうむ。この牡羊は、のちプリクススとヘレを助け、アルゴナウタエの遠征によって知られる金羊毛皮伝説をつくる。
アルゴナウタエ → 英雄イアソンは、いわばすべての英雄たちに課せられる試煉として、コルキスの王アエエテスの所持している金羊毛皮を取りに出かけることになり、ギリシアの各地から英雄・勇士たちをあつめて、遠征隊を組織し、アルグスなる男に命じて、五十本の櫂をもつ大型の船をつくらせる。この船は、世界で最初の船とされ、その建造者にちなんでアルゴ号と名づけられ、この遠征隊員をアルゴナウタエ(アルゴ号乗組員たち、単数形アルゴナウテス)とよぶ。

これを聞いていたアエエテスの娘メデアの胸に、はげしい恋の炎がもえあがった。

メデア → アエエテス王とイデュイアとの娘。魔法に通じていた。エウリピデスに悲劇「メデイア」がある。

(略)

しかし、仕事はまだのこっていた。それは、けっして眠ることのない竜を霊草の力で眠りこませることであった。この竜は、とがった冠毛と三枚の舌とするどく曲った歯とによって人びとに知られ、黄金の樹のおそろしい番人なのであった。イアソンは、この怪竜にレテの河の水とおなじような効き目のある草の汁をふりかけてから、やすらかな眠りをまねきよせ、逆巻く海をも岩をかむ激流をもしずめるような呪文を三度となえると、まだかつて眠りというものを知らなかったこの怪竜の眼に眠りがしのびこんだ。こうして、勇猛なアエソンの子は、ついに黄金の羊毛皮を手に入れることができた。

オウィディウスの「転身物語」、巻七の「イアソンとメデア」とその注釈を中心に、ギリシャ神話における金毛の羊について抜き書きしてみました。昨日のブルックスブラザーズの商標に関する説明にあったIn ancient Greek mythology云々というのは、これらのことですね。
あと、金毛羊の出生については、前にこちらでもご紹介してます。

ひつじnews at 2006年10月15日 17:48 | Category : ひつじ話
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