「トリフィド時代」

私は、今では、やつらを憎みはじめていた。それはやつらに腐肉を食う習慣があるからだけではない―やつらは、ほかのことはさしおくとして、なによりもまず、われわれの災厄を利用して、それによって繁栄できるように思えたからだった……。
(略)
日がたけて行くにつれて、私の孤独感はさらに深まった。私は丘や高台にでるたびに、車を停めて、双眼鏡で見えるかぎりの土地の広がりを点検した。
(略)
また別のときは、遠くの丘の中腹で、白いものがひらひら動いているのが目にとまり、双眼鏡をそちらにむけてみると、五、六頭の羊が泡をくって逃げまわるのを、一本のトリフィドがつづけざまになぐりつけているのだとわかったが、毛深い羊の背中のこととて、なんの効き目もないらしかった。そして、どこに行っても、生きている人間の気配は見つからなかった。

「トリフィド時代」は、ジョン・ウィンダムの破滅ものSFです。歩きまわり、人をどつき倒し、腐肉を食らう恐怖の食人植物トリフィドと戦う人類の姿が描かれるわけですが、そしてこちらは、追いつめられた主人公の田園地帯での1シーンなのですが、・・・・さりげなく、羊が最強です。

ひつじ話

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