「イエズス会日本年報」より、本能寺の首級。

ひつじ話

明智は城内にゐては安全でないと考へ、宵の口に主城坂本に向って逃げた。
彼はほとんど単身で、世人の言ふところによれば少しく負傷してゐたが、坂本には到着せず、聖母の祝日にはどこか知れぬところに隠れてゐた。
翌日は首を斬る熱が甚しく、信長の殺された場所に最初に持参したのが千以上であった。
これは悉く同所に持参するやう命ぜられた故であって、信長を祀るためそこに並べた。
(略)
その後二日を経て、パードレ・オルガンチノと予と信長の殺された場所を通過した折、数人で三十以上の首級を携へて来たが、縄で下げて、恰も羊または犬の頭を運ぶやうにし、少しの悲しみの様子も示さなかった。

徳川家康の駿府御分物帳豊臣秀吉の大坂城と来たからには、織田信長関係でなにかヒツジ話はないかと、さらに「イエズス会日本年報」を繰っていましたら、とんでもない表現にぶつかってしまいました。
本能寺の変及び山崎合戦ののち、明智方の首級が本能寺に集められるさまを記した場面ですが、人の首がヒツジの頭にたとえられてます。日本人的には、それはそれで怖いんですが……。

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豊臣秀吉の緋羅紗コレクション(?)

ひつじ話

関白殿は一私人の如く案内をなし、自ら戸および窓を開き、我等を第八階まで導き、各階に納めた富を語り、汝等が見るこの室には金が満ち、この室には銀、かの室には生糸及び緞子、かの室には衣服、向ふの室には刀及び立派なる武器が一杯であると語った。
我等が通過した室の一つには新しい緋の外套Capasが十または十二絹の紐で吊してあったが、日本においては甚だ珍しいものであった。

ルイス・フロイスによるイエズス会の活動報告書を読んでおりましたら、大坂城で豊臣秀吉に拝謁したときの記録に、楽しげな場面がありました。
おそらく、以前ご紹介した木瓜桐文緋羅紗陣羽織のようなものが何枚も飾られていたのではないかと。華やかそうです。

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「ホビット ゆきてかえりし物語」

ひつじ話

「村のやつらが、てめえとバートに食われてえようって、いつまでもぐずぐずしてると思ってんのけえ。山を下りてきてから、てめえらで村を一つ半もたいらげちまったじゃねえか。ゼータクゆうんじゃねえ! 山にいたときにゃ、しけてやがったからよう、こんなにけっこうけだらけなヒツジがあったら涙ながして、“あんがとよ、ビル”なんて言ったところだぜ」。
こう言うと、ウィリアムは、いま炙っているヒツジの足から大きな肉のかたまりを食いちぎり、袖で口をぬぐいました。
そう、たとえ頭が一人に一つっきりしかなくっても、トロルという連中はこのように大食いなのです。
すっかり立ち聞きしてしまったビルボは、なにか行動を起こすべきでした。
そうっと引き返して、すぐそこに、険悪な気分になったかなり大ぶりのトロルが三人もいて、ヒツジに飽きあきなので、炙りドワーフか、炙り子馬の肉なら、待ってましたとばかりに飛びつくだろうと仲間たちに知らせるか、さもなくば、押入のとっておきの早業をさっそくにひろうすべきところでした。

J.R.R.トールキン、山本史郎訳の「ホビット」から、主人公ビルボのはじめての冒険、第2章「ヒツジのあぶり肉」の場面を。

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ヘリック 「われ富めり」

ひつじ話

われ富めり
夜のしざりゆくを告げる柱時計はなくても、
わが家の雄鶏は朝が近づけばときをつくる。
婢女のプルーデンスは幸ひよくできたをんなで、
わたしの持つともなく持つてゐる僅かな財物をつましく使ふ。
日毎に白い面長な卵を生むめん鶏は
くッくッと鳴いておのれの手柄を知らせる。
油断なく聞き耳を立てる鵞鳥は
なにか身に危険が迫れば舌を振り立てて訴へる。
食事のたべかすで飼ひ馴らした子羊は
この仔一匹を残して母親に死なれた哀れなやつ。
縦横にわが家を走り廻る猫は
鼠のこそ泥どもを平らげつつぶくぶく太る。
この他にまだトレーシーがゐる。田園に隠れたわたしの日常を
いやが上にも楽しくするのがこの毛むくぢやらの可愛い犬だ。
これら数へ上げたものは皆わたしの心をなごませる玩具と言へよう。
といふのも心労のない所では一寸した物事でも結構楽しいのだから。

森亮の訳詩による、17世紀イギリスのロバート・ヘリック『ヘリック詩鈔』より、「われ富めり」を。

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MERY TVCM 「カフェ」篇

ひつじ画像・映像

なりたいオシャレがみつかるアプリ  MERY

K&T様から、女の子向けの無料ファッション情報アプリ「MERY」のTVCM(のバック)を見るべく、タレコミをいただきました。
バック……? あ! なんと、ローラ&渡辺直美のお二人が談笑しているのは、「HITSUJI COFFEE」なるお店のようです。黒羊の絵は、「MERY」のロゴマークとのこと。
ああ、良いですねぇ。こんなお店で、こんな女子トークをしてみたい。

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天王寺動物園のムフロン。

ひつじを見にいく

先日、「黄金のアフガニスタン」展のお話をしたあと、無性に生きたムフロンを見たくなって、大阪の天王寺動物園まで出かけてまいりました。

天王寺動物園公式HP

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動物園のむこうに通天閣のてっぺんが見えているあたりが、大阪っぽいです。
思えば、横浜の金沢動物園でオオツノヒツジやスーチョワンバーラルだって見ているというのに、現在の家畜ヒツジのもとになったというムフロンを見たことがないなんて、うかつなことでした。
というわけで、動物園の中を進みます。
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ふれあい広場のヒツジにも、もちろんご挨拶。
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公開中のディズニー・アニメ「ズートピア」のキャンペーンをしているようです。
遠足中の小学生がことごとく立ち止まってしまうので、引率の先生がたが大変そうでした。子どもたちに大人気なのですね。
さて、ムフロンはこの近くのはず……あ、いた!
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説明板によると、オス三頭で、名前は「ツウ」「テン」「カク」だそうです。誰だ、この名前をつけたのは。
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三頭並んで岩を昇り降りしたり、
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下のほうから、ふっとこちらを見上げたり。
たまに岩場でつまづいたりもしていて、見ていて飽きない子たちでした。
ご縁があれば、大阪に、ぜひ。

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駿府御分物帳の羊毛製品。

ひつじ話

元和二年(1616)四月十七日に徳川家康は歿し、駿府城に残された膨大な遺産の大部分は、のちに徳川御三家と呼ばれる尾張・紀伊・水戸の三家の初代、即ち家康の九男義直、十男頼宣、十一男頼房の三人に分け与へられた。
(略)
『駿府御分物(すんぷおわけもの)帳』とは、この遺産分配に当って作成された請渡帳である。
(略)
衣服と反物
絹布類の種類は実に多種多様で、四八四項に上って計上されてゐる。
(略)
それらのうち、名称から推して南蛮渡りと思はれる品目のみを掲げてみよう。
あびと   ゑけれしま
おらんとぬの   おらんと嶋
かいき   かなきん
かりせや   ごろごろ
さらさ   しちん
しやむろ   せてん
たふしいら   ちよろけん
びろうど   へろへとらん
ほろかあと   らしや
(略)
新時代の品々
(略)
虎の皮四枚、羊之皮二枚、らつこの皮十六枚、こつひの皮十二枚、唐皮十枚が見え、敷物や武具に用ゐるためであったと思はれる。

ときどきお話している羅紗関連で。
『海外視点・日本の歴史』シリーズより「将軍の国と異邦人」所収の、「家康の遺産に見る世界の品々」から。徳川家康の遺品目録「駿府御分物帳」に記された海外産品についての解説ですが、羊毛製品がずいぶんあるようです。

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名古屋ボストン美術館 「ルノワールの時代」展

ひつじ話

名古屋ボストン美術館にて、「ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影」展、開催中です。
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以前ご紹介した、ジャン=フランソワ・ミレーの「羊の毛刈り」や、シャルル=フランソワ・ドービニーのエッチング「牧養場の羊、朝」など、ヒツジを描いたものがいくつかありました。

会期  2016年3月19日(土)─8月21日(日)
開館時間  平日10:00─19:00、土日祝日10:00─17:00
        ※入館は閉館時間の30分前まで
休館日  月曜日(祝日・振替休日の場合はその翌日)

お近くならば、ぜひ。

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東京国立博物館 「黄金のアフガニスタン」展

ひつじ話

東京国立博物館にて、特別展「黄金のアフガニスタン 守りぬかれたシルクロードの秘宝」が始まりました!

「黄金のアフガニスタン 守りぬかれたシルクロードの秘宝」展
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古くから『文明の十字路』として栄え、シルクロードの拠点として発展したアフガニスタン。
その北部に点在する古代遺跡で発掘された貴重な文化財は、アフガニスタン国立博物館を代表する収蔵品となっていました。
1979年のソ連による軍事介入やそれに続く内戦により同館は甚大な被害を受け、その多くが永遠に失われてしまったとみられていました。
ところが、その貴重な文化財は、国立博物館の勇敢な職員たちにより、秘かに大統領府地下の金庫などに移され、その後14年もの間、静かに守り続けられていたことが2003年に判明します。
本展は、この秘宝の再発見を契機に、アフガニスタンの文化遺産復興を支援するために企画された古代アフガニスタンの歴史と文化を紹介する国際巡回展です。
会期  2016年4月12日(火)─6月19日(日)
開館時間  午前9時30分─午後5時
      土・日・祝日及び5月2日(月)は午後6時まで、金曜日は午後8時まで
      ※入館は閉館の30分前まで
休館日  月曜日  ※ただし、5月2日は開館
会場  東京国立博物館 表慶館(上野公園)

メイン展示品にしてマスコットキャラクターにもなっている黄金のムフロン像は、もちろん必見です。
ともあれ開催概要を。

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三春張子人形のヒツジ。

ひつじグッズ

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先日の佐土原人形につづいて、福島県の伝統工芸品である「三春張子」を。もったりとした感じが愛らしくて、なごみます。

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佐土原人形のヒツジ。

ひつじグッズ

和雑貨屋さんの前を通ったら、ヒツジをかたどったいろんな民芸品がカゴに盛られて売られていました。
すごい捨て値だったので、昨年の干支のときの売れ残りなのでしょう。
このお正月には未年が終わってしまったと残念に思ったものでしたが、ひょっとすると、今年はひつじグッズを安く買えるありがたい年なのかもしれません。
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というわけで、買い込んできたうちのひとつを。
宮崎市の伝統工芸品、「佐土原人形」です。

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愛知県美術館 「黄金伝説」展

ひつじ話

愛知県美術館で開催中の、「黄金伝説」展に行ってまいりました。
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黄金伝説 燦然と輝く遺宝 最高峰の文明展
会期 2016年4月1日(金)─5月29日(日)
会場 愛知県美術館 (愛知芸術文化センター10階)
開館時間 10:00─18:00 金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日 毎週月曜日

最初の展示品が、プリクソスを描いたギリシャ陶器でした。
さらに進むと、以前ご紹介したドレイパーの「金の羊毛」ですとか、ギュスターヴ・モローの「アルゴー船の乗組員」といった、金羊毛伝説関連の美術品が次々と。
さらに、羊頭や距骨をモチーフにした装飾品もいくつか。
あまりのヒツジ度の高さに、かえってうろたえてしまいました。お近くならば、ぜひとも!

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セサミストリートのOvejita。

ひつじ画像・映像

セサミストリート公式HP 内 Ovejita
日本版セサミストリート公式HP

K&T様から、セサミストリートのマペットキャラクターに子羊がいる由、教えていただきました。ありがとうございます。
名前は、Ovejita。オベヒータ、でしょうか。スペイン語を話す、元気な紫色の子羊ちゃん。
「Murray Has a Little Lamb」というコーナーで、マーレイ・モンスターと一緒にいろんな学校を体験する模様。上の動画は空手教室のようですね。

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羊形硯(続き)。

ひつじ話

羊形の考古遺物の確実な例としては、八世紀の奈良県平城京跡や三重県斎宮跡などから見つかった硯がある。
現在その出土数は10例に満たないほど少ない。
この頃の硯は焼き物で、多くは円形をした円面硯だが、ごく少量羊形や鳥形といった形象硯(けいしょうけん)が存在する。
羊形硯(ようけいけん)は円を描くように湾曲する二本の大きな角が特徴的で、四肢を折って座り込んだ羊の背中が硯になっている。
羊の頸の後ろ、硯の海にあたる部分に墨の痕が残っている例もあり、珍しく貴重なものではあるが実際に使うこともあったようである。

時々お話している羊形の硯について、「十二支になった 動物たちの考古学」に解説がありました。ちゃんと実用品だったんですね。

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木製の鍋敷き。

ひつじグッズ

春らしい食器を求めて街まで出かけ、なぜか鍋敷きを買って帰ってきてしまいました。
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ナチュラルな木のヌクモリがほっこり優しい雰囲気を与えてくれるアスプルンドのアカシアキッチンツールコレクション ウッデントリベット(WOODEN TORIBETTO)です。
耐久性に優れたアカシア材で作られたトリベット(鍋敷き)で、アニマルモチーフがキュートで可愛らしいデザインとなっています。

いやでも、上に鍋を載せたら、かわいいモチーフが見えないじゃないですか。
というわけで、お皿として活用してみました。よし、春らしいと言い張れないこともない感じに。
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