古代ギリシャの鏡と蓋

ひつじ話

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紀元前350年頃  コリントス製、同地出土(?)
ブロンズ  鏡径18.5、蓋径19.0
鏡と蓋は、もともと蝶番でつながれていた。
磨かれた鏡面にはもちろん装飾はないが、蓋には外側にレリーフ、内側に線刻が施されている。
(略)
線刻の流麗な描写は、彫刻家ではなく画家の手になると考えられる。
エロスを従えたアフロディテがパンとお手玉遊び(動物の関節骨のさいころ、アストラガロス)に興じている様子をあらわしている。

 「大英博物館 芸術と人間展」カタログ 

古代ギリシャの鏡の蓋を。アストラガロス(アストラガルス)に興じる女神たちが描かれているようです。
羊の距骨を使ったこうした遊びについては時々お話しておりますので、こちらでぜひ。

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雛屋立圃 「十二類歌合」

ひつじ話

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江戸・寛文元年(1661)
装束をつけた十二支の動物たちが歌仙に見立てられ左右の組に分かれ、動物の名を読み込んだ発句を競います。
「十二類合戦絵巻」にヒントを得た作品です。
作者の雛屋立圃(ひなやりゅうほ)は俳画の祖といわれています。

 大阪市立美術館「十二支の動物たち」展カタログ 

先日お話した『十二類絵巻』関連で、さらにもう少し。
十二類絵巻の影響を受けて作られた「十二類歌合」です。いやしかし、このツノはいったい……。

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ゴヤ 「狩りの装いのカルロス3世」

ひつじ話

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18世紀スペイン、フランシスコ・デ・ゴヤの「狩りの装いのカルロス3世」です。胸元に金羊毛騎士団勲章が。
これまでにご紹介しているゴヤは、こちらで。
金羊毛騎士団勲章をつけた人々の肖像画は、こちらで、ぜひ。

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六甲山牧場あれこれ。

ひつじを見にいく

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子羊のお披露目!
開催日   【子羊をパドック内に放牧】 3月21日(土・祝)─
        【牧場内を親子で自由放牧】 4月11日(土)─
       ※雨天等の悪天候時は、中止する場合があります。
       現在、25頭程生まれています。
時間   【パドック内放牧】 11:00頃─14:00頃
      【牧場内を親子で自由放牧】 9:30頃─15:30頃
      ※子羊の体調や雨天等の状況により、放牧しないことがあります。

ak様から、子羊誕生シーズンの到来をお知らせいただきました。ああっ、そうでした、春は子羊ラッシュの季節でしたよ!
六甲山牧場では、羊のお祭り「干支っ子まつり」で、子羊のお披露目が行われているようです。カメラを持って、ぜひ。
ただ、大事な注意事項がひとつ。
六甲山牧場では、この三月から、ペット(介助犬・盲導犬・聴導犬を除く)の入場が禁止となりました。

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牧場でいちばん大切なのは、飼育されている動物たちです。
彼らの安全に配慮した上で、叶うならこれからもずっと、その姿を愛でつづけてまいりましょう。

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三河国府跡出土の羊形硯。

ひつじ話

愛知県豊川市にある、三河国分尼寺跡史跡公園に行ってきました。
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豊川市公式HP 内 三河国分尼寺跡史跡公園

こちらの公園に併設された「三河天平の里資料館」内に、なんどかお話したことのある羊形硯が展示されているのです。

この羊形硯は、三河国府国庁跡の東約200メートルの地点で出土したもので、全国で7点しか出土していないものです。
三河国府跡以外では、平城京跡(奈良県奈良市)で2点、斎宮跡(三重県明和町)、尾崎遺跡(岐阜県美濃加茂市)、正木町遺跡(名古屋市)、ハガ遺跡(岡山県岡山市)で各1点出土しています。
三河国府跡で出土したものは、平城京跡出土のものとよく似た、丁寧なつくりのものです。

 三河天平の里資料館 解説パネルより 

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後ろに、平城京跡出土品等を参考にした復元品(解説パネルより)と、正倉院宝物の羊木臈纈屏風の写真が添えられています。
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せっかくなので、もう一枚。
羊のいない国で愛用された、羊のかたちの硯。ご縁があれば、ぜひ一度ご覧くださいますよう。

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近江八幡の左義長まつり。

ひつじ春夏秋冬

滋賀県の近江八幡市まで、3月14、5日に行われた「左義長まつり」を見に行ってまいりました。

近江八幡の左義長は元来、安土城下で行われていたもので、城主であった織田信長自らも踊り出たと伝えられています。
(略)
左義長は松明、ダシ、十二月(赤紙)の3つの部分を一本(基)にし、前後に棒を通し、つり縄で括り固め御輿のように担ぐように作り上げます(これ全体を左義長と呼びます)。
前方となる正面に「だし」と呼ぶ作り物は意匠を凝らし、時間をかけ経費を惜しまず各町の誇りをかけて制作されます。
かつて「ダシ」は町の器用で作り物の得意な人によって、専門的に手がけられていましたが、現在は町内の人々の手作りによりその年の干支に因んだ物を主としテーマを決めて制作されます。

旧城下町の各町から総勢十三基がくりだされるというこの「だし」が、それはもう手間暇かかっているのが一目でわかる代物で。これはどうしたって、間近で現物を見ねばなりません。
というわけで、やってきました。奉納の行われる日牟禮八幡宮です。
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喧騒のなか、御朱印と干支絵馬もがっちり手に入れて、さてと鳥居のあたりまで戻ってくれば、
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来てました!
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そして左義長同士でたたかいます!
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負けて壊れちゃった子もいます(あああ、なんてこと)。
こちらの祭礼のなにがすごいって、左義長と観客を隔てるものがなにも無いことではないかと。
人にも左義長にもぶつからないように逃げ回りながらの見物ですが、それがかえって楽しくもあり。
なお、日牟禮八幡宮の公式HPでは、山車コンクール審査結果が見られるようです。どの羊も甲乙つけがたく愛らしいですよ。

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金羊毛の正体(続き)。

ひつじ話

ギリシア人はもともと商才にたけた民族だった。
男どもは早くから海へ乗り出して交易に従事すると同時に、各地に植民市を建設した。
わけても前750─前550年は「大植民時代」といわれるほど、おおぜいの人間が本土をはなれて、小アジア・黒海沿岸・西部地中海北岸などへと植民した。
(略)
ギリシアの交易商人たちは、じつは、彼らの活動の黎明の時期から、毛皮に対しては格別な関心を持っていたと思わせる証拠がある。
それは、あのアルゴー船の伝説である。
ギリシア神話のなかでもとくに古いと考えられているこの伝説は、イアソンがいわゆる<金羊毛>を求めて同志とともにコルキスの国へ渡ったという筋書きであることは、ご承知のところだろう。
<金羊毛>を文字通り黄金色をした羊の毛皮と解する向きもあるが、羊ではなくクロテンの毛皮だとする、はなはだ魅力的な意見も提案されている。
事実、クロテンのなかには黄褐色の被毛のなかに銀毛をまじえて、黄金色に見えるものがある。
そして、一行が出かけていったコルキスというのは、現在の黒海南東岸地方のことで、ヴォルガ川からカスピ海の水運を利用して運ばれてきたウラルからの商品が、カフカス山脈南面の陸路を越えて黒海に達する場所にあたっていた。

アポロドーロスの「ギリシア神話」アポロニオス「アルゴナウティカ」オウィディウスの「転身物語」などでお話している、ギリシア神話の金羊毛伝説。
この「金羊毛」の正体について砂金説などをご紹介しているのですが、こちらの「毛皮と人間の歴史」によると、クロテンの毛皮説というものもあるようです。

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「ぐりとぐら」のかるた。

ひつじグッズ

心に残る絵本といえばまずこれを挙げる人が多いと思われる、「ぐりとぐら」。
彼らの世界を描いた「ぐりとぐらかるた」を見かけたので、買ってまいりました。
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「ぐりとぐら」 及び 「ぐりとぐらかるた」

なんと、「ひ」の札が羊でした。
絵柄の愛らしさと、思わず口ずさんでしまう語呂の良さ。お見かけになることがあれば、ぜひ。

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『夫木和歌抄』の「羊の歩み」。

ひつじ話

『夫木和歌抄』巻二十七動物部には「羊」題は立てられていないものの、巻十九の「煙」題には「羊の歩み」が詠まれている。
この慣用句は後崇光院たちも先刻承知の表現であった。
六帖題、  光俊朝臣
もえつづくかうの煙のときうつりひつじのあゆみけふも程なし
(『夫木和歌抄』巻十九雑部一「煙」)
(略)
後崇光院たちは様々な文献を参照し、あるいは既に自らの血肉と化した素養に基づいてこの絵巻を制作しているが、『夫木和歌抄』はまさに院の身辺にあって活用された一書であった。

以前ご紹介した、『十二類絵巻』のお話の続きを。
その制作にかかわったとされる後崇光院と参照された類題集『夫木和歌抄』について論じた、こちらの「異類の歌合」に、羊の詠んだ歌と関係するとおぼしき一首が挙げられています。
「羊の歩み」というテーマについてはなんどかお話しておりますので、こちらで。

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ハウツィンガー 「マリー・アントワネット、フランス王ルイ16世とマクシミリアン大公」

ひつじ話

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末の息子マクシミリアン大公が、ヴェルサイユ宮殿にて、姉マリー・アントワネットおよび義兄でフランス王、ルイ16世と出会う場面を主題に制作された。
後にドイツ騎士団団長、選帝侯およびケルン大司教となるマクシミリアンは、1774年、見聞を広めるべく教養旅行に出かけ、オーストリア領ネーデルラントとフランスを訪れたのである。

 「マリア・テレジアとシェーンブルン宮殿」展カタログ 

マリア・テレジアの命を受けてヨーゼフ・ハウツィンガーによって描かれた、「マリー・アントワネット、フランス王ルイ16世とマクシミリアン大公」です。ルイ16世の胸元に金羊毛騎士団勲章が下がってます。
ルイ16世は、ジョゼフ・デュプレシの肖像画をご紹介しています。

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小田原こどもの森公園わんぱくらんど

ひつじを見にいく


K&T様からもうひとつ動画を教えていただいたので、ご紹介です。
小田原市の「小田原こどもの森公園わんぱくらんど」にある「ふれあい広場」で愉快な光景が見られる由。なんなんでしょう、この奔放すぎるヤギは……。

開園時間:9:00~16:30
休 園 日:毎週月曜日(祝祭日は除く)・祝祭日直後の平日・年末年始 (GW・夏休みは無休)
入 園 料:無料
“もぐもぐタイム”(ヤギ・ヒツジへのえさやり)
11時00分から11時30分
13時15分から13時45分
15時00分から15時30分
※ヤギ・ヒツジの体調により中止することがあります。

お近くならば、ぜひ。

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