コールリッジ 「詩章─ブロックリー谷の左斜面を登る」

何度も止まったり、振り返ったりしながら
谷の急坂を登ると、かわいい歌い手たちが
近くの木陰で野山の歌をさえずり、遠くで
閑古鳥が変わらぬ声で耳をなごませてくれる。
群からはぐれた羊たちが、せかせかと、
崖上の緑地で草をはむ仲間を追いかける。
はだが岩を無理にこじあけた深い裂け目から
イチイが生えている。それが濃緑色の大枝を広げる
                        真下に
(その緑一色の中にサンザシが白い花を交じえて
                     いるのだが)
平らで広い石が苔の褥から突き出ていて、
そこに私は休む─頂きここに極まれりだ。
おお、何と豪勢な風景が私を迎えることか!
誇らしげな教会の塔、私には馴じみの家並み、
ニレが影を落とす野原、視界を限るわたつみ!
深い吐息が孤独な心から洩れ、涙が落ちる。
魅惑の場所! ああセアラがここにいれば!

何度かご紹介しているウィリアム・ワーズワースと同時代人である、サミュエル・テイラー・コールリッジの田園詩を。

ひつじ話

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