郭璞 「遊仙詩」

京華遊俠窟    京華(けいか)は遊侠の窟、
山林隱遯棲    山林は隠遯の棲。
朱門何足榮    朱門 何ぞ栄とするに足らん、
未若託蓬萊    未だ蓬莱に託するに若かず。
臨源挹清波    源に臨んで清波を挹(く)み、
陵崗掇丹荑    崗に陵(のぼ)って丹荑(たんてい)を掇(と)る。
靈谿可潛盤    霊谿(れいけい) 潜盤(せんばん)す可し、
安事登雲梯    安んぞ雲梯に登るを事とせん。
漆園有傲吏    漆園に傲吏(ごうり)有り、
萊氏有逸妻    莱氏に逸妻有り。
進則保龍見    進めば則ち竜見を保てども、
退為觸藩羝    退いては藩(かき)に触るる羝(ひつじ)と為る。
高蹈風塵外    風塵の外に高踏し、
長揖謝夷齊    長揖して夷齊(いせい)に謝せん。

晋代の文学者郭璞による「遊仙詩」を。
世俗を捨てて仙境に隠遁したい、といった内容ですが、その中に「いったん疎んぜられたら、そのとき隠退しようとしても、もはや身動きできないのだ。」(同書解説より)という意味で、以前お話した「易経」の「触藩羝」の語が使われています。

ひつじ話

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