「罪を喰う人」

一時間のうちに、かれが旅してきたのと同じ方向から、一人の羊飼いがやってきた。
背が高くて、ふしくれだった、やぶにらみの男だった。
ほとんど顔を覆ってしまっている赤毛のあいだから、小さいけれど青く澄んだ目が光っていた。
かれはだまってニールの前に立ち、連れていた羊によりかかった。
「ゴキゲンヨウ」と、かれはようやく口をひらいた、「ごきげんよう」と。
ニールはちらりと男を見たけれど、返事はしなかった。

19世紀末スコットランドのフィオナ・マクラウド(ウィリアム・シャープ)による『ケルト民話集』から、「罪を喰う人」を。
罪を負って死んだ者の葬儀の場で、死者の身代わりとなってその罪を喰う儀式を引き受けた旅人ニール。羊飼いとの会話をきっかけに、自らのあやまちに主人公が追いつめられていく場面です。

ひつじ話

Posted by


PAGE TOP