「黄金伝説」の聖クレメンス

聖クレメンスは、「みんなでここに井戸を掘って、水が湧きだしてくるようわれらの主イエス・キリストにお願いしましょう。と言いますのは、シナイの荒地で岩を打つように命じられ、そこから滝のような水を噴出させてくださったかたは、きっとわたしたちにもゆたかな水源をあたえて、お恵みにあずからせてくださるにちがいありません」
そう言って、祈りをささげ、それからあたりを見まわすと、一匹の子羊が立っているのが見えた。
子羊は、右の足をあげて、彼にある場所を教えた。それを見た彼は、この子羊は主イエス・キリストで、自分にだけ姿をあらわしてくださったのだとわかった。
彼は、しめされた場所に行って、こう言った。 「父と子と聖霊の御名において申しつけます。ここを掘りなさい」 ところが、子羊の立っているところをだれも掘りあてることができなかった。
そこで彼は、みずから小さなつるはしを取って、子羊の足の下をかるく打った。すると、たちまち大きな泉が湧きだし、見るみるうちに川となった。

13世紀にヤコブス・デ・ウォラギネによって著された聖人伝「黄金伝説」から、聖クレメンスの章を。流刑を受けた土地で、流されて苦役に服していた信者たちのために井戸を掘り当てる場面です。

ひつじ話

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