佐鳴湖浄化に動物も一役 刈ったヨシを飼料に

 浜松市動物園(同市舘山寺町)に三十日、市内の佐鳴湖で刈り取ったヨシが動物たちのエサとしてプレゼントされた。刈り取らないまま放置すると腐敗して水質悪化の原因にもなるヨシを、飼料に有効利用しようというリサイクルの試みで、全国的にも珍しいという。園内ではこの日、子どもたちがヒツジやヤギに刻んだヨシを手に取って与え、うまそうに食べる姿に笑顔がこぼれた。
 佐鳴湖の水質(COD値)は四年連続で全国ワーストを記録。湖岸や沼地に群生するイネ科の多年草ヨシには汚れの原因のリンや窒素を吸収する効果があることから、県などが植栽してきた。しかし、刈り取った後は有料で業者に処分委託しており、費用面やリサイクルの観点から、県中小家畜試験場が戦略課題研究「快適空間『佐鳴湖』の創造」の一環で、飼料化に取り組んでいた。
 贈られたヨシは今年六月、地元住民や行政でつくる佐鳴湖ネットワーク会議(鈴木真一センター長)が刈り取った約二トン分。短く切り、サイレージによる乳酸発酵で保存性をよくした。生活雑排水が流入する佐鳴湖だが、ヨシの重金属含有量、塩分濃度などに問題はなかった。
 この日、園内での寄贈式には小学生ら約七十人が参加。手のひらに細かく刻んだヨシをのせ、ふれあい広場で動物たちに与えた。刈り取りにも参加した佐鳴台小六年の加藤綾奈さん(11)は「喜んで食べてくれて良かった」と笑顔。同園長の中沢力男さん(55)は「バイソンやキリン、シマウマなどのエサに活用したい。飼料代も助かり、うれしい。生のままを好む動物もおり、実態を調べた上で今後に生かしたい」と話している。


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