‘瀕死’の世界遺産 万里の長城も

 秦の始皇帝が造り始めたと言われる万里の長城は、すでに2千年以上の歴史を持つ。この間、各王朝が拡張・修復を続けてきたわけだが、明の時代に大規模な修復・補強工事が行なわれてからは、数百年にわたって風雨に晒されたままである。そのため、現在の長城は3分の2が風化・老朽化してしまっている。
 ただ、大自然の浸食だけでなく、人為的要因が長城の老朽化にとって直接の致命傷であると言われる。目先の利益を追求する企業が無断で城壁を壊して建築工事を行う、人々が観光名所としてやみくもに開発を進める、さらには、近くの農民が勝手に城壁を利用してブタ小屋や羊小屋にする、といった行為によって、長城はじわじわと侵されている。

世界遺産に棲むひつじ(たち)……。


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