「きもちe」羊の牧場 もこもこがいいんだな

 驚きの「体験」は、実は単なる「ふれ合い」に勝る究極の癒やしだろう。
 桜がほころび始める季節、日本各地の牧場から、今年生まれた赤ちゃん羊たちの元気便りが聞こえてくる。
 静岡県富士宮市の「まかいの牧場」(写真)は東京都心から車で1時間半ほど。うっすら雪をいただいた富士山が眼前にせまる。敷地は15万坪。牧場名は牧場主が馬飼野さんだからだ。
 向かった先は「ひつじさんの家」。天気のよい日は毎日午前11時に羊たちはここから放牧に出発する。
 でも……羊の放牧は見られなかった。もっとすごいものを見てしまった。
 木のサクで囲われた寝床でおなかの大きなお母さん羊がくるくる回っている。おしりのあたりから何かが飛び出している。はしゃぎたい盛りの男の子が「がんばれ」とつぶやきながら見守る。30分後。この春29頭目の赤ちゃん羊が生まれた。
 羊の出産は明け方が多いという。牧場のホームページに「運がよければ」とあったが、まさか本当に出産シーンに立ち会えるとは。
 赤ちゃんはやせて想像以上に足が細長い。母羊の、もこもこぶりとは対照的だ。すぐに立ち上がり、おっぱいをさがす赤ちゃん。VTRではないノーカットで見届けた「生命のドラマ」に、お客さんたちも思わず拍手していた。
 春休みになれば赤ちゃん羊が本格的に観光客にお披露目される。緑の牧場を駆け回る、ふわふわ、もこもこ、ミルク色の赤ちゃん羊たち。周りを見渡せば、菜の花畑、桜並木。富士のパノラマ。まかいの牧場はさながら絵本のような空間になる。
 3月下旬から5月下旬にかけては、ヒツジの毛刈り体験もできる。牧場の春の風物詩だ。
 まかいの牧場の特徴は羊の飼育から羊毛製品作りまで一貫して行っていることだ。場内の「ウール工房」で活動する「ウール倶楽部」の指導で、原毛からの糸紡ぎや冬場は簡単な編み物も体験できる。
050326kimochi-e.jpg


PAGE TOP