「バウドリーノ」

ピグミーにちがいないと思われる部族を一行は見た。
(略)
獲物は、長い棒に吊るされていたが、彼らはその棒を運ぶのに、両端にふたりずつ、四人がかりだった。
ピグミーのほうが鶴よりも背が低かったので、獲物は地面をこすることになった。
そのため、首のほうが棒にくくりつけられ、土ぼこりのうえには、鶴の足で長い線が引かれていた。
(略)
一行が最後に見たのは、背丈がヌビア兵の頭をはるかに超える巨人族だった。
彼らは巨人であり、また一つ目でもあった。
髪がぼさぼさで服装はだらしなく、ガヴァガイの言うところでは、岩の住居の建設か、あるいは、羊や牛の飼育にたずさわっていたが、この点にかんして巨人族の右に出る者はいなかった。
なぜなら、牡牛の角をつかんで引きずり倒すこともできたし、牡羊が群から離れれば、犬も必要とせず、片手を伸ばして羊の毛をつかみ、元の群に連れ戻したからである。

先日お話した「東方の驚異」関連で、もう少し。
ウンベルト・エーコの小説『バウドリーノ』です。
時は12世紀、稀代のホラ吹きを自称するバウドリーノが、実際に目の当たりにしてきたという驚異の数々を語る、虚実が激しくいりまじる一代記。
引用は、司祭ヨハネの国を目指すバウドリーノと友人たちが、異形の種族が行きかう市にたどり着く、「バウドリーノはプンダペッツィムに到着する」から。以前ご紹介したことのある小人族が、天敵の鶴を持ち込んでいるようです。

ひつじ話

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