「カルパチアの城」

羊飼いというものを、もしもその理想的な面だけを見るとしたら、想像でその羊飼いは、わけもなくひとりの夢想家、瞑想的な人物に仕立てられてしまう。いくつもの遊星とことばをかわす。彼は星々と話しあう。彼は天空を読む。が、ほんとうのところは、彼は無学でうすぼんやりした動物にも近い人間なのだ。しかし、世間は、羊飼いなるものには超自然的な資質がある、といともたやすく信じこむ。彼は呪いを知っている。自分の気分のおもむくままに、呪いを育て、人びとや獣らに―いずれも同じように―呪いをかける。彼はご自慢の火薬を売る。人は彼から、媚薬と処方箋を買う。彼は田野に魔法の石を投げて、不毛なものに変えてしまうかもしれない。ただ左目で見つめるだけで、牝羊に仔ができないようにしてしまうのではあるまいか?

ジュール・ヴェルヌの小説「カルパチアの城」から、登場人物のひとりである羊飼いについての描写です。前にドーデーの「星」ををご紹介しましたが、似てます・・・ね。こういう共通のイメージがあるのですね。
なお、「カルパチアの城」を原作にした、 「カルパテ城の謎」というコメディ映画があるそうです。・・・コメディというのが気になりますね。観てみたいです。

ひつじ話

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