寓意詩画集のひつじ

 比喩は、抽象的表現を、感覚的表現で説明したものだが、そうした感覚的表現そのものはやはりことばである。しかし、抽象的表現を絵画で説明するというテクニックも昔から存在した。
 東洋の場合は、十牛図がそうであるが、十六、七世紀のヨーロッパで流行した emblem book (「寓意詩画集})がその代表であろう。これは象徴的または寓意的な絵を集めた本であって、いちいちの絵には、それに対応する詩句、格言、教訓がついている。 (略)
狼わなの烙印を押された羊
 ところで羊の烙印に関してであるが、例の「寓意詩画集」の中の詩で、皮膚に狼わなの烙印をもつ羊のことが歌われている。そしてその烙印はけっして恥ずべき醜いものではなく、むしろ栄誉をもたらすものであり、人間に関していえば、神の烙印は彼が神に属し、神の庇護下にあることを保証するものだとされている。 (略)
羊の毛を剪る羊飼
 剪毛者のイメージは古くからあり、たとえば例の「寓意詩画集」にも人間が羊の剪毛をおこなっている絵があって、それに「年に二回の剪毛」という題をもつつぎのような詩が添えられている。
「哀れな羊である私は、ああなんという目にあうのだろう。人間どもは冬と夏ごとに私の毛を剪り、私はそれを嘆き、うめき、そして悲しむのだ。」この詩は明らかに搾取に対する民衆の嘆きを歌ったものだということができる。

ひつじ話

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