『クルイロフ寓話集』より、「狼と子羊」

「それじゃ、名付け親か親戚の者、つまり、おまえの身内の誰かだ。
おまえたちも、番犬も、羊飼いも、みんなおれの不幸を望んでいる。
だから、折あらばおれに危害を加えようとしているのだ。
しかし、やつらの罪はおまえで埋め合わせてやる。」
「わたしが、どんな悪いことをしたのでしょうか?」
「だまれ! おれは聞きあきた。
おれにおまえの罪を調べているひまがあるか、青二才!
おれが食いたいという理由でおまえは罪があるんだ。」
そう言うと、暗い森の中へ子羊を引きずって行った。

19世紀ロシアのイヴァン・アンドレーヴィチ・クルィロフの寓話集から。
以前お話したことのある、イソップラ・フォンテーヌの同名の寓話が下敷きになっているようです。「強者の理屈はつねに通る」という教訓のためのお話なのですが、クルイロフ版は、またとくに怖いですね……。

ひつじ話

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