ルネ・ダンジューの武術試合

ルネ・ダンジュー(1409─80年)は、学者、詩人、芸術家、建築家で、愛の作法の実践者であり、かつ武芸に秀でた勇者で、輝かしく影響力のある宮廷を主宰していた。
そしてかつて馬上武術試合の儀式について著されたもっとも細心な論文、『騎馬試合の形式と手順について』の著者であったばかりでなく、またいくつもの風変わりな武術演技の主人役を務めた。
(略)
さらにもっと驚くべきものが、1449年にタラスコンで催された「女羊飼いの武術試合」である。
ルネの宮廷における、ひなびたさまを理想化し称揚する文学趣味を反映して、このときはギャラリーが草葺きの四阿であった。
試合場の一端には、「かわいらしい羊飼いの少女」がおり、「小さい唐鍬」を持って木の下で「羊」の番をしていた。
そして木の上には、二人の挑戦者の持つ黒と白の楯が架けられていたが、これは陰鬱と歓喜を表している。
もちろん挑戦者は、「二人の牧人ふうの高貴なる騎士」にかしずかれた羊飼いよろしく盛装して到着した。

ヨーロッパの王侯貴族が作り上げた祝祭空間について語る「ルネサンスの祝祭」から、ルネ・ダンジューのユニークな武術試合を。

ひつじ話

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