ロシア民話 「暁、夕べ、夜ふけ」

勇士たちは旅に出た。
ひと月、二月、三月と馬をすすめていき、広々とした荒野にさしかかった。
その荒野を超えると深い森があり、森のはずれに一軒の百姓家が立っていた。
窓をたたいても返事がないのではいってみると、家の中にはだれもいなかった。
「それではしばらくここに泊って、旅の疲れを休めるとしよう」
そこで着物をぬぎ、神さまにお祈りをしてから横になって寝た。
あくる朝、末の弟の暁が長兄の夕べに言った。
「おれたち二人で狩に出るから、兄さんはうちにのこって食事のしたくをしてくれ」
上の兄は承知した。
家のそばに羊がいっぱいいる家畜小屋があったので、夕べは深く考えもせず、とびきり上等な雄羊を選び出すとそれを殺して皮をはぎ、食事に出すために焙りはじめた。
すっかり用意をすませてから、ベンチに横になって休んでいた。
そこへ突然どんどんと戸をたたく音、ごろごろと雷が鳴るような音がして、戸がぱっとあいた。

「羊飼いの娘」「動物たちの冬ごもり」をご紹介いている、アファナーシェフ編纂のロシア民話をもう少し。
暁と夕べと夜ふけに生まれ、そのとおりの名をつけられた三人の兄弟が、三人の王女を手に入れるまでの冒険譚(というか……)。

ひつじ話

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