「アフリカ農場物語」

遠く、コピの向こうで、息子のウォルドーが羊の番をしていた。
埃まみれの雌羊と仔羊の小さな群れだった。
ウォルドーは、赤い砂を頭のてっぺんから足の先までかぶり、ぼろの上着をまとい、なめしていない皮の靴からはつま先がのぞいていた。
帽子は大きすぎて目の上までずり落ち、黒く柔らかい巻き毛は、すっぽりとその中に隠れていた。
小さな奇妙な姿だった。
羊の群は、ほとんど何も問題を起こさなかった。
あまりの暑さに羊も遠くへは行かず、日陰を求めて小さなミルクブッシュの茂みの一つ一つに群がり、かたまってじっと立っていた。

19世紀南アフリカの女性作家オリーヴ・シュライナーの小説「アフリカ農場物語」を。作者の実体験に基づいた風景の描写が、物語に彩りをそえています。羊、多そうですね。

ひつじ話

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