「富岡恋山開」(続き)

「富岡恋山開」舞台上の羊
大切な品物や密書、証文の類を鳥や犬が銜えていったり、破ってしまったりするのは歌舞伎の類型だが、その役を紙を食べる習性の羊にさせたところに斬新さがあり、観客は喜んだ。
賑やかな辻打の合方を使い、猥雑な雰囲気を舞台一杯に醸し出す見世物小屋のシーンは、次なる文化文政期に四代目鶴屋南北が得意としたところである。
上方から下った五瓶が、時代の観客の好みを素早く掬み上げ、彼らを喜ばせるコツを熟知していたことが、見世物小屋の道具を飾って羊を働かせた写実の趣向に表れている。

 松竹歌舞伎会 月刊会報誌「ほうおう」2006年4月号 

羊が活躍する唯一の歌舞伎、「富岡恋山開」について教えてくださった「Mary & Wool」のしつじ様から、さらに追加情報をいただきました。ありがとうございます。
歌舞伎会の会報2006年4月号に「歌舞伎博物館 動物篇 第27回 羊 文・服部幸雄」と題された記事があり、平成12年12月国立劇場にて上演された「富岡恋山開」のひつじ写真が掲載されているとのこと。ふさふさしてて、かわいいです。

ひつじ話

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