「平台がおまちかね」

今の自分の言動、おかしなところはなかったよなと、ただちに反省会を開いてしまう。
まずそこを振り返ってみないと先に進めない。
ぶつぶつ言うかわりに唇を噛んでいると、肩をつつかれた。
「どうしたの、ひつじくん。すっかり仔羊ちっくな顔になっているよ。ぼくの好みからすると、君はいつもそうやって、途方に暮れていると楽しいのに。お兄さんが助けてあげるから話してごらん」
他の出版社の営業マンだ。
「いいですよ。ひつじじゃなくて、井辻ですし」

大崎梢のミステリです。人情味のある「日常の謎」ものですね。
新米出版社営業、井辻くんが遭遇する、書店と本にまつわる事件の数々。脇をかためる人々がまた良いのですよ。このラテン系の先輩とか。

ひつじ話

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