「ぼくの羊をさがして」

ところが、羊が見えてきた。あっちにも、こっちにも、羊、羊、羊! トラックが止まった。まわりに、羊が押しよせてきた。でっかい、むくむくの毛布みたいだったよ!それが、メエー、メエーって鳴くんだ。そのくさいこと! うん、それが、羊のにおいだったよ。
ボブさんが運転台からおりて、羊を押しのけながらトラックの後ろにまわってきて、荷台の柵を下げた。大人の犬たちが、ひょい、ひょいと飛びおりた。と思うと、もう羊を誘導しはじめた。こんなのは、らくな仕事さ、というふうに。
ぼくは、思わずしりごみした。おなかのどこかが、ふにゃふにゃになったみたいな気がした。だって、羊ったら、みんなぼくより大きいんだ。おまけに、もう、いーっぱいいた。広い世界には、こんなにたくさんいるのか。どうやって数えるんだろう? そう思ったよ!

ヴァレリー・ハブズの児童文学です。
牧場に生まれ、牧羊犬を天職と信じるボーダーコリーの子犬が、わけあって陥った長い放浪の日々。そこから彼を救ったものは、天職を知る者の誇りであり、友情であり……。少年の成長譚として読んでも素敵な物語です。犬ですが。

ひつじ話

Posted by


PAGE TOP