クロイスターズの十字架(続き)

さらに驚くことにエレミヤは、十字架上の明らかにユダヤ人と思われる生身の人物にたいして攻撃を加えていた。
彼の二番目の巻物はまるで武器のように左方やや離れたところに立つ哀れな女性に直接突きつけられていたのである。
この女性が手にした謎めいた巻物の maledictus 「詛われし者」は前に読んだ記憶がある。
彼女は頭巾をかぶり、頭を垂れて両眼を閉じ、まるで盲目のようだった。
彼女は一本の槍を片手に、神の子羊の胸元を刺し貫こうとしていた。
フラウ・メルスマンはこれをユダヤ教会(シナゴーグ)の擬人化だろうと解釈していた。

先日ご紹介した、クロイスターズ美術館の祭壇用十字架に関して、この美術品を館の所蔵品とするために活躍した、後のメトロポリタン館長トマス・ホーヴィングのノンフィクション「謎の十字架」から。
この壮麗な十字架に惚れ込み、買い取りのための調査をすすめるうちに、その反ユダヤ的傾向に気づいて戸惑う場面です。

ひつじ話

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