「本草綱目 獣部」より「羊」

地生羊
西域に産する。劉郁の出使西域記に『羊臍を土中に種(う)ゑて水を漑(そそ)いで置くと、雷を聞いて臍が生える。その臍は地に連つてゐるのだが、生長してから木聲で驚かすと斷(き)れ離れて歩行(ある)き出し、草を囓(く)ふ。秋になるとその臍の肉を食へる。また瓏種羊(ろうしゅやう)と名ける種類のものもある』とある。
段公路の北戸録には『大秦國に地生羊といふがある。その羔(かう)は土中から生ずるので、國人は牆を築いてそれを圍う。臍は地と連つてゐて、割けば死ぬものだ。しかしただ馬を走らせ鼓を撃つて驚かすと驚き鳴いて臍が絶ち斷れ、水草を逐ふて行くものだ』とある。
呉策の淵頴集には『西域では地に羊が生える。脛骨を土中に種ゑ、雷聲を聞くとその骨の中から羊子が生れ、馬を走らせて驚かすと臍が脱ける。その皮は褥(しとね)になる。あるひは漠北地方では羊角を種ゑると生えて、大いさ兎ほどの肥美なものになるともいふ』とある。

「本草網目啓蒙」「和漢三才図会」のお話で触れている、本家中国の「本草綱目」のご紹介がまだでしたので、あらためて。
地生羊、または植物羊、バロメッツといった「地に生える羊」モチーフに関しては、まとめてこちらでぜひ。

ひつじ話

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