ひつじの語の語源

雑誌『郷土研究』第四巻第二号(大正五年五月) (略) には「稲の反生をヒツジと呼ぶが如く、羊の毛は剪(き)りて反生するより斯く名付けしと云うが穏当と信ず」とある。
(略)
すなわち「ひつぢ」とは稲を刈り取った後に再生または反生する稲の俗称であって、羊の毛を剪って反生するのが、ちょうど「ひつぢ」が刈稲から生ずるのと同じであるところから、羊を「ひつぢ」といったというのである。
さらに「ひつち」または「ひつぢ」の語源については『名語記』は「へづちの転であつて、へづちははえ、づる、とみの反なり」と言い、『言元梯』は「ヒステ(不秀手)の義」といっているが、『日本釈名』『東雅』『名言通』『大言海』はいずれも「ヒツチ(乾土・干土)の義」としている。
この説の弱点は上古はヂとジを現在のように混同することがなかったのに、この転化がなぜ行われたのかの疑問が残るところにあるが、ヂがジに転ずる例は必ずしも稀有のことではない。

ご紹介はしたものの、まず動物の羊とは関係ないだろうと思っていた「ひつじ田」ですが、前尾繁三郎『十二支攷』の、「ひつじの語の語源のはなし」と題された章を読んでいたら、いきなりつながってしまいました。
ひつじ田の稲とかけて羊の毛ととく。そのこころは刈ってもまた生えてくる。よって、動物の「羊」を「ひつじ」と呼ぶ、ということのようです。なんと。

ひつじ話

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