ブルネレスキとギベルティの「イサクの犠牲」(続き)

ギベルティの作品では、浮彫面が左上から右下に斜めに区切られ、左下の場面ではアブラハムに付いてやってきた従者の若者二人が、薪を載せてきたロバとともに岩山の下で待っている。
右側の場面では、アブラハムが衣を翻しながら短剣で息子に挑みかかっているが、イサクはその瞬間にも父親の意図がわからないかのように戸惑った表情をしている。
神の意志を伝える天使は雲間から優雅に立ち現われ、伸ばした右手で岩山の頂上にいる羊を指し示し、それを息子の代わりに捧げるよう伝えている。
表現の仕方は叙述的である。
これに対してブルネッレスキの作品は、場面の持つ緊迫感を前面に押し出したいっそう写実的なものに仕上がっている。
(略)
天使は、このつらい瞬間に立ち現れて、アブラハムの右手をぐっとつかみ、信心深い老人ははっとした目で神の使いを見つめている。
体に張りついた天使の衣紋は、神の使いがいかに俊敏にやってきたかを示している。
天使は右手で、犠牲の身代わりとなるべき雄羊を指し示している。

ブルネレスキとギベルティの「イサクの犠牲」については、その後舞台裏のお話をご紹介したりもしているのですが、こちらの彫刻史の教科書から、味わいかたなどをもう少し。
「イサクの犠牲」に関してはこちらで、聖書の該当部分はこちらをご参考にどうぞ。

ひつじ話

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