「イリアス」のオデュッセウス

ついで老王はオデュッセウスに眼を留めていうには、
「可愛い娘よ、あそこにいる男は何者か、その名も聞かせてくれ。
アトレウスの子アガメムノンに背丈こそ及ばぬが、胸幅、肩幅は彼よりも広く見受けられる。
物の具はものみなを育む大地に置き、自分はさながら牡羊の如く隊伍の間を見廻っている。
あの姿は、雪白の羊の大群の間をわけて歩む、厚毛の先導羊にもなぞらえたらよかろうか。」
それに応えてゼウスの姫ヘレネがいうには、
「あれはラエルテスの一子、才気溢れるオデュッセウス、その生国は岩ばかりのイタケの島ながら、あらゆる策謀、ぬかりない知略に長けた人でございます。」

ホメロス「イリアス」より、トロイアの王プリアモスと美女ヘレネによる、英雄オデュッセウスを眺め見ての会話です。
オデュッセウスについては、ずいぶん以前に、「オデュッセイア」をご紹介しています。

ひつじ話

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