李白 「将進酒」

「将進酒」   酒をささげ進むる歌
(直訳)
君見不ヤ黄河之水 天上ヨリ来ル
奔流シテ海ニ到リ復回ラ不。
君見不ヤ高堂ノ明鏡 白髪ヲ悲シム
朝ニハ青糸ノ如ク暮ニハ雪ト成ル。
人生 意ヲ得テ須ラク歓ヲ尽スベシ
金樽ヲシテ空シク月ニ対セシムル莫レ。
天 我ガ材ヲ生ズル必ズ用ヰル有リ
千金散ジ尽シテ還復来ル。
羊ヲ烹牛ヲ宰リテ且ク楽ミヲ為サン
会ニ須ラク一飲三百杯ナルベシ。
(意訳)
君見ずや黄河の水は源を天上に発し
奔流して東海に到り再び返らぬではないか。
君見ずや高堂の鏡に映して悲しむ白髪も
朝には青糸(くろいと)の如く暮には雪となつたのではないか。
人生は心まかせにして須らく歓楽を尽すべきだ
金樽を空しく月に照らさせてはならぬ。
天が我が才能を生んだ以上必ず用ゐる所が有らう
千金使ひ果しても元通り またやつて来る。
牛を割(さ)き羊を烹(に)て、まあ大いにやろう
すべからく一気に三百杯飲むべきだ。

厨娘関連で著書をご紹介した青木正児による、「酒徒が酔余の朗詠に供するのが主なる目的」との凡例がすばらしい「中華飲酒詩選」から、李白の「将進酒」の一部を。ぜひ暗誦できるようになって、目的にかなった使い方をしてみたいところです。
李白は、「送蕭三十一魯中。兼問稚子伯禽」「金華牧羊兒」「蘇武」といった詩をご紹介しているほか、「誹風柳多留」ではからかいの対象にもなっているようです。

ひつじ話

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