緑色の動物がいないワケ

ニュージーランドの空を飛行機で飛んでいるときに窓から下界を見下ろすと、一面に広がる緑の牧草地にヒツジが点々といるのを見てとることができます。
なぜ上空からでもヒツジがいるのが分かるのか……、至極当たり前のことですが、それはヒツジが白っぽい色をしているからです。
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多くの草食性の昆虫の場合、自分が目立たないよう緑色の体色を持っています。
ヒツジもシカも草食性の哺乳動物である以上、体の色が緑であってもおかしくなさそうです。
なのに、彼らの中にそんな色のものはいません。緑色は、草食性哺乳類にとって何か不都合があるのでしょうか?
この質問に対して確実な解答をいうことは、実はなかなか難しいのです。その可能性としては、大きく二つ考えられます。
一つは、色に対する感覚の違いです。
草食性昆虫の捕食者は主にクモや鳥ですが、彼らは立派な色覚を持っています。要は、色に対してとても敏感に反応するわけです。
ところが、哺乳動物の捕食者であるネコやイヌたちは色の区別がつかないことが多いのです。
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もう一つの可能性は、遺伝的な制限です。
草食性の哺乳類を進化論的に見てみると、彼らは太古の昔はウサギのように土色をしていたか、キリンのように縞模様の土色をしていたか、パンダのように斑点状であったと思われます。
実験的に緑色の色素を作るとか、緑色の皮を作るといった進化上の試行錯誤は、草食性哺乳類においてはまったく行われなかったのです。

「おあつらえの羊」角がはえる人など、動物雑学をいくつかご紹介しているのですが、その系統のものをもうひとつ。緑色の羊がいない理由です。

ひつじ話

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