カウナケス(続き)

カウナケス
今日のイラク共和国を流れるティグリス河とユーフラテス河の流域を、両河の間という意味でメソポタミアと呼ぶ。
この地域は前6500年に農耕・牧畜を営む新石器時代に入り、前3000年には南部のバビロニアで文字をもつまでの文明に至った。
これが本格的な文明の段階に達したのが、シュメール人の初期王朝時代(前2900―2400)である。
出土品によれば、この時代の服飾はもっぱらカウナケスだが、これは素朴ながら、その後前4世紀のギリシアにまで及ぶ伝統をつくった衣服である。
マリの高官エビフ・イルの腰に巻かれているのがカウナケスの原初の姿で、本来は羊や山羊の毛の房をつけた毛皮だが、やがてこれを真似て粗毛ウールの束を重ねた布がつくられ、これが後々まで伝えられるのである。
カウナケスとは、つまり毛皮、もしくは毛皮を真似たウールの素材をさすことばである。

ずいぶん以前にご紹介したカウナケスについて、もう少し。
引用写真の左は、ルーヴル美術館蔵の「エビフ・イルの像」。右は大英博物館蔵「ウルのスタンダード」。カウナケスにマントをはおった兵士たちが並んでいます。ウルのスタンダードについては、シュメル文明のひつじたちのお話をしたときに触れています。

ひつじ話

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