アイルランドの民話 「黒い子羊」

(略)
ある暗い晩のこと、女が手おけ一杯の煮え湯を、注意しろとも言わずにいきなり撒いたのです。
即座に、まるで人が苦しんででもいるかのような叫び声が聞こえましたが、何の姿も見えませんでした。
しかし次の晩、背中全体が焼けただれた黒い子羊が家の中にはいってきて、暖炉のそばに呻きながら横たわり、それから死んだのです。
というわけで、これはその女にやけどを負わされた霊なのだと誰もが思い、死んだ羊を丁重に表に運び出し、それを地中に深く埋めました。
それでも毎晩、同じ時刻になると羊がまた家にとことこと入ってきて、横たわり、呻き、死ぬのでした。
(略)

ウィリアム・バトラー・イェイツの編纂によるアイルランド民話集より。
イェイツは、「幸せな羊飼いのうた」をご紹介しています。

ひつじ話

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