シルクロードの伝説

鑽羊洞
崆峒山(こうどうさん)の北側の斜面に、鑽羊洞(さんようどう)という洞窟がある。
この名前についても、またおもしろいいわれがある。
   ※
はるか昔のこと、山のふもとに、ある一家が住んでいた。
(略)
そのように暮らしていたある日の夜のこと、いつものように見張りに立っていた娘は、思いもかけず、野を駆ける羊の群れを目にした。
真っ白な羊の群れは、その毛が月明かりに照らされて、まるで雪のように銀色に輝いてみえた。
(略)
ところが、羊たちは人がやってくるのを見ると、やかましく鳴き騒ぎながら、いっせいに山の方へ向かって走りだした。
羊は走る、一家は追いかける。どんどん追いかけているうちに、たくさんいた真っ白な羊たちは、どこへいったものやら、ただの一匹も見えないようになってしまったのだった。
それで一家はしかたなく山を下りて戻ってきた。
夜が明けるのを待って、さっそく見にいってみると、三人とも驚きのあまり、開いた口がふさがらなかった。
これはまたどうしたことだ。畑の麦も、豆も、ちっとも荒らされていない。
それどころか、作物はみな前よりずっと伸びているではないか。

西安からウルムチにいたる一帯の口承文芸を集めた「シルクロードの伝説―説話で辿る二千年の旅」から、平涼の崆峒山(こうどうさん)にまつわる説話を。
この「仙羊」たちは、その後、噂を聞きつけた悪人に追いかけられて山の洞窟に逃げ込みます。羊を追って中に入った人間たちが見たものは、大小の白い石だった、というお話。
ちょっと黄初平修羊公を連想してしまいますが、どこかでつながってたりするんでしょうか。

ひつじ話

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