唐代伝奇集 「一万匹の羊」

 李公はふしぎの思いをして、いくらかこの僧を信用するようになり、そこでたずねてみた。
「南へ行く運命がまことに避けられぬとすれば、そのまま帰れなくなるであろうか」
すると僧は、
「お帰りになるはずでございます」
 李公がそのわけをたずねると、僧は答えた。
「閣下には一生に一万匹の羊を召しあがるはずでございます。今までに召しあがったのは九千五百匹ですから、お帰りになるはずと申したのは、五百匹の羊がまだ残っているためです」

以前、「柳毅伝」をご紹介したときに参考にした「唐代伝奇集」ですが、こんな羊ばなしも。
左遷された元宰相の李徳裕が、有徳の僧に自分の運命をたずねます。結局このあと羊五百匹を送られて、うっかり受け取ってしまい、南の地に没することになるのですが、・・・それ以前に、どう考えても食い過ぎです。

ひつじ話

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