芳幾「毛物づくし」の羊と獬豸

落合芳幾「新板毛物づくし」
「新板毛物づくし」(部分)
 「新板毛物づくし」(国立歴史民俗博物館所蔵)は芳幾画となっている。芳幾―落合幾次郎(1833?1904年)は、歌川国芳門の浮世絵師でその画作は明治期にも及ぶが、本図は1850年代ないし70年代の作であろう。(略)江戸時代の末から明治初期に多くの人に好まれ普及した一枚刷りの錦絵で、江戸時代人の意識した獣類一覧といえよう。
(略)
 動物園や写真のない時代の画家と絵の利用者(読者)にとって、直接見ることがない動物と架空の想像上の動物との区別はなかった。江戸時代には、外国からしばしば珍獣の渡来があり、見せ物として人気をよんでその絵が刷り物になることも多く、架空動物と区別された実在動物が増加していった。幕末、明治初年と推定されるこの時期には、外国産動物についてかなり写実的な図も生まれていたが、ひろく大衆に普及したこの種の図では、そうした知識は浸透しなかったことを思わせる。民衆の目に入る外国産動物像としては、多くの寺院に所蔵され涅槃会に公開される釈迦涅槃図の動物図であったろう。

幕末・明治の絵師落合芳幾の「新板毛物づくし」です。羊と、先日お話した獬豸(カイチ)が、ほぼ一対というか、同列に扱われています。似たようなものだと思われていたんでしょうか。

ひつじ話

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