「柳毅伝」陳舜臣版

「あなたはなにを好んで、こんな仕事をなさっているのですか?」
 と、柳毅は訊いた。
 当時の人たちは、羊飼いを賤しい職業と考えていた。史書によく皇帝の末裔が羊を飼っていた、という記述がある。後漢初、赤眉軍の看板になった劉盆子もそうだが、落ちるところまで落ちた、ということであろう。農耕民が牧羊の民より一段上である、という価値観も作用しているようだ。
 (略)
 雨工という獣が登場するが、『唐書』「五行志」に、乾符三年(876)、洛陽建春門外に、暴雨とともに羊のごとき物が降り、これが雨工であろう、という記述がある。
 竜巻にまきあげられた羊が、空から降ったのであろうが、当時の人びとにとっては大きなショックだった。

唐代伝奇集の「柳毅の物語」をご紹介したことがあるのですが、こちらは陳舜臣の、解説を加えてわかりやすく語り直された「ものがたり唐代伝奇」です。羊がなんで水妖なのか、じつはずっと謎だったんですが、竜巻にまきあげられて、というのは・・・なるほど・・・。

ひつじ話

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