夢かない第2の人生は羊飼い

羊農家への挑戦を始めた夫妻
 ふるさと厚真の雄大な自然が忘れられず、定年退職後に町内へとUターン、羊農家に挑戦する男性がいる。浜厚真に移住した山田忠男さん(61)。名古屋で35年間の教員生活を終え昨年、高校時代まで過ごした厚真に帰郷し、周囲の温かい応援を受けながら、念願の農業従事者の資格を取得して羊17頭を飼い始めた。
 山田さんの子供のころは浜厚真の「三宅沼」が遊び場。「豊かな自然の中、夏は水泳、冬はスケートを楽しんだ」と振り返る。大学を卒業して名古屋で教員となり、35年間にわたり過ごしたが、いつも頭の片隅にはふるさと厚真の大自然があったという。
 「人生80年。定年退職後は時間に縛られず、のんびり自然の中で過ごしたい」と昨年春、定年退職を機に妻のヒサ子さん(60)と移住を決定。親せきや知己を頼りに三宅沼のほとりに家を構え、農業を始めようと考えた。
 ところが新規就農へのハードルは、素人の山田さんにとって厳しく、1年間は農業従事者の資格を取れないまま。そんな時に「町内の羊農家は1戸だけ。羊農家に挑戦してみたら」とアドバイスを受けた。十勝や釧路などの羊農家などを見学し、町内唯一の羊農家・保田広晴さん(63)からも指導を受け、さらには羊の譲渡も約束してくれた。
 牧草地2ヘクタールを借りた。6月に保田さんから雄羊3頭を譲り受け、7月から雌羊14頭が加わった。息子の広樹さん(30)も、農業者になろうと雑誌記者を辞め、阿部ファームで研修を始めた。羊小屋は手作り。9月にはさらに羊約10頭が加わるといい、「親羊だけで200頭ぐらいにしたい。5年ぐらいかけて取り組みます」と意欲的だ。広々とした土地に心和ませ、夢も一歩ずつ現実となり、「この地に帰ってきて良かった」と会心の笑顔を見せている。


PAGE TOP