「オデュッセイアー」のキュクロープス

この蔓は、掟も何も弁えぬキュクロープスが寝床に使っていたもの、
それで羊を三匹ずつ、とっ捉まえて結わえつけ、まん中のに人間を
運んでいかせる、他の二匹は両側から、仲間の男を無事に護って
いくわけでして、つまり羊が三匹で一人ずつを運ぶのです。ところで
私はというと、三歳羊の牡なので、群全体でもとびぬけて立派な羊、
そいつの背中をとっ掴まえ、荒毛の生えた腹の下へ身を托し込み、
下がってみました、でも両手でもってすばらしく(立派な)毛房に
確かりと、身をよじって、辛抱づよい心をもちつかまってました。
このようにして、その折は溜息しながら、輝く朝を待ったものです。

トロイア戦争の英雄オデュッセウスの放浪をうたった、ホメーロスの「オデュッセイアー」。
第九書では、一つ目の人食い鬼にして羊飼いであるキュクロープスとの闘いが描かれます。
上は、目を潰されたキュクロープスが洞窟の出口に陣取り、放牧のために外に出す羊の中に人間がまじっていないか手探りで探ろうとしているのを、羊の下に潜んで突破するシーン。
オデュッセウスと部下たちは、どうやら一晩中、羊の腹につかまっていたようです。

ひつじ話

Posted by


PAGE TOP