2014年02月23日

●「民族と色の文化史」

赤色には家畜を守る役割もあります。
ネゲブ砂漠のベドウィンの習慣では、群れのなかの乳を出す雌羊は女性が所有することになっています。
女性たちはこれらの雌羊の毛を赤く染めて目立つようにします。
こうすれば自分の家畜を見分けることができ、また、悪霊たちに、家畜は怪我をしているか死んでしまっているのだと思い込ませて、群れから引き離すこともできるのです。

(略)

中近東では、油煙から得た黒インクに硫酸鉄を加えて改良していました。
顔料はきわめて細かい粉に砕かれ、インクにとろりとした質感をあたえました。
この、いわゆる「オリエント・インク」は、コーランを美しい書体で書けると重宝がられました。
マグレブ地方では、羊の尾の、とりわけ脂肪分の多い羊毛を燃やして煤のインクを作っていました。
羊毛の房を少量の塩といっしょに土製の皿にのせ、火にかけてあぶります。
こうして得た灰を、石を使って粉々にして水をかけ、ふたたび火にかけます。
できあがった塊は、冷めると硬く均一になるので、必要に応じて、小片を取って水に溶かします。
溶かす割合に応じて、黒や茶色のインクになるのです。

世界の色彩にまつわる文化を網羅した「色―世界の染料・顔料・画材 民族と色の文化史」から、羊関連の記事を。

ひつじnews at 2014年02月23日 21:23 | Category : ひつじ話
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