竜の口から帰還するイアソン

ひつじ話

ドゥリスの杯
文学の方の伝承では、メディアは呪文を唱えながら竜に近づき、香りの高い魔薬をふりかけ、さらに呪文を唱えながら竜の頭に薬を塗ると竜が眠り、イアソンが金毛羊皮を手に入れた、と伝えている。
が、ヴァティカン美術館にある紀元前5世紀の陶画(ドゥリスの杯)には竜の口からでるイアソンの前にアテナが立っている場面が描かれている。文学と違った伝承があったに違いない。

先日、アポロドーロスの「ギリシア神話」でお話した金羊毛神話について、もう少し。
金羊毛を得るまでの英雄イアソンの冒険については、オウィディウスの「転身物語」でお話したことがあるのですが、まったく違うストーリーが別にあったのですね。
なお、イアソンを描いた美術や文学作品は、これまでにずいぶんご紹介しておりますので、こちらでぜひ。

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モスクワ発パリ行き列車、ベラルーシの羊の群れに突っ込む

ひつじ事件

列車が羊の群れに
モスクワ発パリ行きのN23鉄道旅客便がベラルーシのブレスツク州でヒツジ8頭に激突、40分間停止した。
現場はベラルーシ・ポーランド国境付近。乗客に怪我はなし。

ak様から、羊と列車の衝突事故のニュースをお知らせいただきました。いつもありがとうございます。
怪我人が出なかったのは、不幸中の幸いでした。ええと、それで、羊のほうは……いえ、なんでもないです。

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サーフェリーとその工房 「動物のいる廃墟のある風景」

ひつじ話

「動物のいる廃墟のある風景」
「動物のいる廃墟のある風景」(部分)
サーフェリーが、プラハ宮廷での10年に及ぶ滞在を終えてアムステルダムに戻ったとき、動物は彼の作品の中でますます重要性を増していた。
プラハでの彼は、皇帝の取り計らいで、たくさんの異国の動物を写生することができた。
彼に様々な動物を描写するよい口実を与えたのは、兄でもあり師でもあるヤーコプ・サーフェリーに倣って取り上げた聖書や神話の、「地上の楽園」や「オルフェウスと動物たち」といった主題である。

 「17世紀オランダ風景画展」カタログ 

先日に引き続いて、動物たちのいる風景画を。ルーラント・サーフェリーとその工房による、「動物のいる廃墟のある風景」です。
サーフェリーは、「楽園」「音楽で動物を魅了するオルフェウス」「廃墟に群れる家畜」をご紹介しています。

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ドンデクーテル 「箱舟から下りた動物たち」

ひつじ話

「箱舟から下りた動物たち」
美しい風景画と動物画の一体化─17世紀オランダの画家メルキオール・ドンデクーテルはこのジャンルにおけるサヴェリーの最良の後継者である。
主題であるべき箱舟ははるか遠方の丘に霞むように描かれ、画面の大半を下船した動物たちが埋めつくす。

「絵画のなかの動物たち」からもうひとつ、17世紀オランダ、ドンデクーテルの「箱舟から下りた動物たち」を。
上の引用で触れられているサヴェリーについては、「楽園」「音楽で動物を魅了するオルフェウス」などがご参考になるかと。
箱舟と動物たちを描いたものは、ヤコポ・バッサーノの「ノアの箱船に乗り込む動物たち」エドワード・ヒックス「ノアの箱舟」などをご紹介しています。

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エドワード・ヒックス 「平和な王国」

ひつじ話

「平和な王国」
「平和な王国」(部分)
「狼は子羊と共に宿り、豹は子山羊と共に伏す。子牛は若いライオンと共に育ち、小さい子供がそれらを導く。牛も馬も共に草を食み、その子らは共に伏し、ライオンも牛もひとしく干し草を食らう。乳飲み子は毒蛇の穴に戯れ、幼子はマムシの巣に手を入れる」(イザヤ書)。
(略)
彼はクエーカー教の説教師として知られた存在となったが、一方で1820年代から40年代の晩年にいたるまで、上記のイザヤ書にもとづく「平和な王国」を繰り返し描き続け、その多くは友人たちに贈られたものだった。

19世紀アメリカ、エドワード・ヒックスの「平和な王国」のうち、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー収蔵バージョンです。
ヒックスは、「コーネル農場」「ノアの箱舟」をご紹介しています。

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ポンペイの羊飼い像

ひつじ話

羊飼い像
大理石 1世紀中頃 スタビア 66.5×16.5センチ
えり巻きのように小型のヤギをかつぐ牧夫は、羊の毛皮をトゥニカとして着用している。
右手に生まれたばかりのヤギと思われる動物をぶらさげ、左腕には麦の穂や果物があふれだしているカゴをさげている。
写実的な表現と、なめらかな表面処理から紀元1世紀中ごろの作と考えられる。

「世界遺産ポンペイ展 ポンペイとポンペイに暮す人びと」カタログ

古代ローマの羊飼い像です。「善き羊飼い」のポーズですね。
このモチーフについてはずいぶんお話をしておりますので、こちらで。
また、ポンペイ関連の記事は、こちらでぜひ。

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伊香保グリーン牧場 新牧羊犬がデビュー

ひつじを見にいく

渋川市金井の「伊香保グリーン牧場」にシープドッグショー用の雄の牧羊犬「ブーフ(BOOF)」が仲間入りした。
(略)
ブーフは、ワンワンと大きな声でほえてヒツジを集め、大きな群れを動かすのが得意なニュージーランドハンタウェイという種類の大型犬。昨年十一月にニュージーランドで生まれ、今年三月に同牧場にやってきた。
体長は約一・二メートル、体重三三キロ。最初はヒツジを集めるベテランの牧羊犬をサポートしながら、「ショーに、ちょい役で登場し、腕を磨いていた」(飼育スタッフ)という。
現在、同牧場で活躍している牧羊犬はニュージーランドハンタウェイがブーフを含めて四頭、ほえずに目の力でヒツジにプレッシャーをかけて群れを動かす大型犬のストロングアイヘディングドッグが三頭。
飼育スタッフによると、ニュージーランドハンタウェイの最年長の犬が人間の年齢だと約八十歳に当たる十二歳と老齢化したため、ブーフを後継に選んだという。
飼育スタッフは計四人。ショーに参加するヒツジは約九十頭で、ブーフはヒツジの群れの左右や後ろに入り込み、ヒツジを追い立てる。ショーは連日行われる。
同牧場では「牧羊犬は広い放牧場のヒツジを管理する私たちのパートナー。その見事な仕事ぶりをご覧ください」と来場を呼び掛けている。

ak様から、群馬県渋川市にある伊香保グリーン牧場のニュースを教えていただきました。ありがとうございます。
夏休み後半のお出かけ先として、素敵なスポットではないでしょうか。あ、でも、暑さ対策はしっかりと。

賢い牧羊犬たちが大活躍!会場の広さは国内最大級!
本場ニュージーランド仕込みのダイナミックなショー。
自由に遊ぶたくさんの羊たちを、訓練された牧羊犬が羊飼いのホイッスルを合図に迎えに行きます。
牧羊犬の、吠えて、走って、羊たちをまとめる指示行動。
目の前に広がる大斜面から駆け降りる羊たちの大群。スケール大で大満足!
後半は4?5頭の羊たちを障害物突破させるシープドッグトライアル。
思い通りに羊たちを操る牧羊犬の賢さに感心。
会場を取り囲むロケーションの良さも必見です!

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歌川国芳 「艶姿十六女仙 初平」

ひつじ話

「艶姿十六女仙 初平」
「艶姿十六女仙 初平」(部分)
右上の「コマ絵」、つまり小さな枠の中の絵は、中国の仙人、黄初平
白い石を数万頭の羊に変えたというエピソードの持ち主である。
それとは縁もゆかりもない江戸時代の女性の姿を重ね合わせるという、浮世絵にはよくある趣向だが、黄初平の意のままになる羊と、わが道をゆく猫が対照的である。

ネコ好きで知られる浮世絵師歌川国芳の連作「艶姿十六女仙」のうち、「初平」です。
これまでにご紹介したことのある国芳関連の記事はこちらで、
また、黄初平関連はこちらで、ぜひ。

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羊があらわれた! 逃げられない!

ひつじ画像・映像

山道で荒ぶる羊と遭遇した人の動画を、もりもとさんに教えていただきました。ありがとうございます。

いや、逃げて下さい。全力で。頭を下げて突進してくる雄羊なんか猛獣ですってば。

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ダッドソン 「揺りかご(降誕)」

ひつじ話

「揺りかご」
「揺りかご」(部分)
サラ・パクストン・ボール・ダッドソン (1847─1906)
サラ・パクストン・ボール・ダッドソンは、19世紀のアカデミーの形式に多く負っており、古典的な題材や聖書の題材を描いた。
フィラデルフィアに生まれ、同地で美術教育を受けたが、1873年以降は国外で活動する。パリで修行を続け、最終的には1891年にイギリスのブライトンに定住した。

名古屋ボストン美術館で開催中の「アートに生きた女たち」展にて、夢のように美しい降誕図を見かけましたので、ご報告です。キリスト降誕と明言されてるわけではないのですが、まぁおそらく。画面下部に、羊たち。
こちらの展覧会は、2013年9月29日(日)まで開かれているようです。お近くならば、ぜひ。

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アポロドーロス「ギリシア神話」の金毛の羊

ひつじ話

アタマースはデルポイに使者を送ってこの不作から遁れる方法を問うた。
イーノーは使者に、もしもプリクソスをゼウスに犠牲にすれば不作はやむであろうと神託があったと言うようにと説き伏せた。
これを聞いてアタマースは土地の住民に強制されてプリクソスを祭壇に連れて行ったが、ネペレーは娘とともに彼を奪って、ヘルメースから授かった金毛の羊を彼らに与え、彼らは羊の背にのって空中を飛んで地を横ぎり海を渡った。
シーゲイオンとケロネーソスとの間にある海の上に来た時に、ヘレーは深海に滑り落ちて、そこで溺れ死んだので、その海は彼女の名をとってヘレースポントスと呼ばれた。
しかしプリクソスはコルキス人の地に来た。
太陽神とペルセーイスの子アイエーテースが彼らの王であった。
彼はまたキルケーと、ミーノースが妻としたパーシパエーの兄弟である。
彼はプリクソスを客とし、娘の中の一人カルキオペーを与えた。
そしてプリクソスは金毛の羊を厄除けの神としてのゼウスに捧げ、その皮をアイエーテースに与えた。
アイエーテースは皮をアレースの杜の中にある樫の木に打ちつけた。

金羊毛騎士団勲章をつけた人々の肖像画をさんざんご紹介しているわりに、当の金毛の羊がどこから現れたのかについては、オウィディウスの「転身物語」で触れた程度になってしまっておりました。ので、アポロドーロスの「ギリシア神話」であらためて。

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金沢動物園あれこれ。

ひつじを見にいく

ジャコブヒツジ
めずらしいヒツジ(ジャコブ)が仲間入り!
NHK Eテレ 「おかあさんといっしょ」の
人形劇「ポコポッテイト」キャラクター「メーコブ」のモデルになったヒツジです!

オオツノヒツジの赤ちゃん誕生&展示場デビュー
2013年7月9日にオオツノヒツジの赤ちゃんが誕生しました。
今年世界遺産登録が決まった富士山にあやかって、「フジノスケ」という名前に決まりました。
2013年5月23日に生まれたオオツノヒツジの「エビゾウ」が、8月から一般公開いたします。
岩山を元気に登るエビゾウの様子を、ぜひご覧ください!
※天候や動物の体調等により展示できない場合があります。
※フジノスケの展示場デビューは、まだ未定です。

5月に横浜市立金沢動物園のオオツノヒツジのニュースをくださったak様から、同動物園でジャコブ種の羊が公開されたとのこと、お知らせいただきました。ありがとうございます。
5月に生まれた赤ちゃんも、元気に育っているようです。
金沢動物園、羊好きには聖地ですね。ああ、行ってみたい。行かねば。

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セガンティーニ 「十字架への接吻」

ひつじ話

「十字架への接吻」

19世紀イタリア、ジョヴァンニ・セガンティーニの「十字架への接吻」です。
セガンティーニのお話はいくどかしておりますので、こちらで。

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