『イソップ寓話集』より、「狼と羊」

ひつじ話

お腹がいっぱいになった狼が、地面に羊の伸びているのを見つけたが、自分が恐ろしくて倒れたのだと知ると、側へ行き、安心させて、本当のことを三つ語ったなら逃がしてやる、と言った。
羊が口を切って言うには、まず第一に狼に出くわしたくなかった、次に、どうしても出くわす運命であったのなら、目の見えぬ狼であってほしかった、そして第三に、
「お前たち狼はみな、悪人相応にひどい死に方をすればよい。私たちから何も害を受けていないのに、ひどい戦いを仕かけてくるのだから」
狼は羊に嘘偽りはないと認めて、逃がしてやった。
真実はしばしば敵の中でも力をもつ、ということをこの話は解き明かしている。

イソップ寓話集から、「狼と羊」です。
これまでにご紹介しているイソップ寓話関連記事は、こちらで。

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「ヴィンランド・サガ」

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「ヴィンランド・サガ」一巻表紙
11世紀、ヨーロッパ中に恐怖を撒き散らした戦闘民族、ヴァイキング。
その中でも最強の戦士「ヨームの戦鬼」と恐れられた男・トールズは息子を授かり、トルフィンと名づけた。
最強の武力を誇りながら戦争を嫌い、剣を捨てて本当の戦士になろうとしたトールズはしかし、幼い息子を残して戦死した。トルフィンは戦場で戦いながら成長し、やがて精強な戦士となった。
この物語は、本当の戦士を目指すトルフィンを描く、ヴァイキング叙事詩である。

幸村誠の歴史マンガです。ありそうで意外に見かけない、ヴァイキングもの。血沸き肉踊りますが、ひつじ度も高いです。おもに食べものとしてですが。

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「しあわせのパン」

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ゾーヴァ
今冬、北海道から心あたたまる映画をお届けします。
舞台は、北海道・洞爺湖のほとりにある小さなまち・月浦。
映画『しあわせのパン』は、宿泊設備を備えたオーベルジュ式のパンカフェを営む夫婦と、その店を訪れるお客さまたちの人生を描く、春夏秋冬の物語です。

羊のいる映画が上映されているとのこと、もりもとさんから教えていただいて、1月末より全国公開中の「しあわせのパン」を観て参りました。
主人公の夫婦が飼っている仔羊のゾーヴァが、それはもうかわいいのですよ。いつもテラスや菜園にいて、お客様をじっと見送る、淡々とした存在感が良いです。
名前は、たぶん、ミヒャエル・ゾーヴァからとられているのでしょうね。

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『万治絵入本 伊曾保物語』より、「狼と羊との事」

ひつじ話

ある川の辺(ほとり)に、狼と羊と水を飲むことありけり。
狼は上(かみ)にあり、羊は川裾にあり。
狼、羊を見て、かの傍に歩み近付き、羊に申しけるは、「汝、何の故にか、我が飲む水を濁しけるぞ」といふ。
羊、答へて云く、「我、川裾にて濁すとて、いかで、川上の障りとならんや」と申しければ、
狼、又云く、「汝が父、六ヶ月以前に、川上に来て水を濁すによつて、汝が親の咎を汝にかくるぞ」といへり。
羊、答へて云く、「我、胎内にして、父母の咎を知る事なし。御免あれ」と申しければ、
狼、怒つて云く、「それのみにあらず。我が野山の草を恣(ほしいまま)に損ざす事、奇怪なり」と申しければ、
羊、答へて云く、「いとけなき身にして、草を損ざす事なし」といふ。
狼、申しけるは、「汝、何の故に悪口(あくこう)しける」と怒りければ、
羊、重ねて申しけるは、「我、悪口をいふにあらず。その理(ことわり)をこそ述べ候へ」といひければ、
狼の云く、「詮ずる所、問答を止めて、汝を服せん」といひける。
その如く、理非を知らぬ悪人には、是非を論じて栓なし。
只、権威と堪忍とをもつて、むかふべし。

イソップ寓話のお話をもう少し。
日本にこれほどイソップ物語が浸透しているのは、江戸初期という非常に早い段階でその翻訳が普及したことが、大きな要因であろうと思われます。
こちらは、その翻訳である「伊曾保物語」から、「狼と羊との事」を。以前ご紹介した「狼と仔羊」に対応するお話ですが、内容教訓ともに、少し手が加えられているようです。

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『イソップ寓話集』より、「羊飼の悪戯」

ひつじ話

羊飼が羊の群を村から遠く追って行きながら、いつもこんな悪さをした。
大声で村の人に助けを求めては、狼が羊を襲いに来た、と言ったのだ。
二度三度は村人たちも慌てて飛び出して来て、やがて笑いものにされて戻って行ったが、とうとう本当に狼が来てしまった。
羊の群が分断され、羊飼は助けを求めて叫んだが、村人はまたいつもの悪さだと思って、気にもかけなかった。
こうして羊飼は羊を失ってしまった。
嘘つきが得るものは、本当のことを言った時にも信じてもらえぬこと、ということをこの話は解き明かしている。

先日の、星新一「オオカミがきた」のフォロー記事を。元ネタのイソップ寓話、「羊飼の悪戯」です。
イソップ寓話は、これまでにもいくつかご紹介しておりますので、こちらで。

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「モンタイユー」

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ピエールもその仲間も、たえず長旅をしていて、妻子も家も持たない。
動産(貨幣・羊群……)については、比較的に豊かであるが、多くの家財を買いためるわけにいかない。
足手まといの財産も定住者なら身辺に集めるが、羊飼いは移動しなければならないから限度がある。
ピエールはいつも「ものを持ち運びできるぎりぎりの範囲で」動いており、品物を集めず、むしろわずかを望むだけで、自分の欲望なり「消費志向」を他の形の「豊かさ」─これが家庭の代用となる─に変える道を選んだ。
すなわち、高原の放牧場や居酒屋での愛人とのかりそめの出会い、生れながらの兄弟や義兄弟、あい親、純粋の友情、仲間の結成に基づくゆたかな人間関係の網が心をたのしませる。
完全に心を開いて運命を受け入れた─そもそも、これが恩寵の定義ではなかっただろうか─からこそ成立つ、このような生活様式は善き羊飼いの気にいっている。
運命とは、目的地である。
彼にとって、自由とは羊のことなのだ。
(略)
この自由とは、気が向けば、異端審問が衣服に縫いつけさせた黄色の十字架を、高地の斜面の藪に投げ捨てることでもある。
ピエールには閑暇があるし、時には持場も離れる。
病気、寒気、苦しい旅など、みじめな日常を理想視するわけにはゆかないが、しかし羊群にも、自分や仲間にも、いつでも食物は見つかる。
乳、肉、チーズなど、蛋白質が不足することはない。

多くのカタリ派帰依者を出し、異端審問の悲劇を味わった、14世紀ピレネーの小村モンタイユー。しかしながらその審問記録は、過剰なほど尋問を重視した異端審問官ジャック・フルニエによって、結果的に社会史の貴重な史料ともなりました。
引用は、異端として記録に残されたモンタイユーの人々のうち、羊飼いのピエール・モリの生活を語る「羊飼いの気質」の章から。魅力的な人物とその人生観は、本書のなかで、ある種の救いとして描かれているように思われます。

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シャルル=エミール・ジャック 「羊に水を飲ませる羊飼いの女」

ひつじ話

「羊に水を飲ませる羊飼いの女」

 「ドラクロワからムンクまで 19世紀ヨーロッパ絵画の視点」 

シャルル=エミール・ジャックの「羊に水を飲ませる羊飼いの女」を。ボストン美術館所蔵。
これまでのジャックはこちらで。かぶってません……よね?

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セガンティーニ 「11月の寒い日」

ひつじ話

「11月の寒い日」
セガンティーニの初期の絵画は、しばしばフランスの画家、ジャン=フランソワ・ミレー(1814─75)の作品と比較される。
しかしながら、ミレーは、農民たちの苦労の多い日常生活をより無愛想に記録し、自らの作品を社会批判と結びつけようとした。
(略)
しかしミレーとは異なって、セガンティーニは、物語的(ナラティヴ)な和やかさを保っていて、その描写によって同情的な感情よりも哀愁の感情を呼び起こしている。

 「アルプスの画家 セガンティーニ ─光と山─」展カタログ 

19世紀イタリア、ジョヴァンニ・セガンティーニの「11月の寒い日」を。これまでにご紹介したセガンティーニはこちらで。
ミレーのこれまで分も、ご参考にこちらでぜひ。

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「チャールズ・アダムスのマザー・グース」

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「チャールズ・アダムスのマザー・グース」
夕焼け空のほう、羊飼いの好天予報
朝焼け空のほう、羊飼いの悪天警報
チャールズはこの絵を1967年に出版されたマザー・グース絵本(本書の初版)のために描いた。
しかし、なぜかはわからないが、この作品は最終段階で割愛されることになった。

チャールズ・アダムスによるマザー・グース絵本から。
「Red sky at night, Shepherd’s delight; Red sky in the morning, Shepherd’s warning.」というマザー・グースのフレーズに、1967年のアメリカが直面していた状況を思わせる、ブラックな解釈が加えられています。

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フランソワ・ブーシェ 「水飼い場」

ひつじ話

「水飼い場」

 「ブーシェ、フラゴナール展」カタログ 

フランソワ・ブーシェの「水飼い場」です。
これまでのブーシェはこちらで。

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景泰藍の羊形尊

ひつじ話

羊形尊
羊形尊 12.7センチ

七宝焼きに似た中国の工芸品、景泰藍の器です。明の景泰帝の頃に最盛期を迎えたことから、作品の時代を問わずこのように呼ばれるとのこと。

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敦煌出土仏伝図断片(諸獣誕生)

ひつじ話

諸獣誕生
絹本着色
上部 縦18.0 横19.0  下部 縦24.0 横20.0
中唐?晩唐
大英博物館
悉達多太子が誕生した日に五百の諸獣が同時に誕生した物語を表す仏伝図幡の断片である。
この主題を表す作例としては、第十七窟(蔵経洞)将来の作品中、唯一のものである。

 「砂漠の美術館─永遠なる敦煌」展カタログ 

敦煌莫高窟の出土品です。上段に羊の母子が。

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UCHUの落雁 と 野仏庵の狛羊

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ひつじnews、このたび京都をさまよってまいりました。
目的はまずこちら、堀川今出川にある和菓子店「UCHU」。
堀川今出川の交差点北西角から北に数分。山名宗全邸址を示す石柱が立つ角を曲がると、ふわりとお店が目に入ってきます。
山名宗全邸址 
UCHU店頭
愛らしい色味とデザインの落雁専門店なのですが、その商品のひとつである「アニマル」があまりにかわいいので、お店まで買いに来てしまいました。
「アニマル」デザインのオリジナルてぬぐいと、観光客らしく「京都ものがたり」も購入。ほくほくです。
成果。

UCHU wagashi
営業日 | 金・土・日 営業時間 | Open 10:00 Close 6:00pm

UCHUの落雁については、カーター卿さんに教えていただきました。ありがとうございます。
さて。
せっかくここまで来たんですから、もうひとつ京都にしかいないひつじを見に行きましょう。
堀川今出川交差点から、まっすぐ東へ進み(調子に乗って、30分ほど歩いてしまいました。寒うございました。皆様はぜひバスかタクシーをご利用ください)、大文字山を眺めつつ、出町柳駅から叡山電車に乗り込んで、一乗寺駅下車。駅からまた東に向かって20分ほど歩きます(いえ、他の移動方法もあるとは思うんですが、つい……)。
やってきたのは、観光名所として知られる詩仙堂そばの「野仏庵」。
野仏庵

野仏庵には「陶庵席」「雨月席」「幽扉席」などの茶席の他、
百数体に及ぶ数多くの石仏が安置されております。
また、庵の正門は明治・大正・昭和の元老公爵 西園寺公望 が、
国事奔走中の維新の前夜に新撰組に追われ、
一時京都府下の丹波須知村に潜んだ際の寓居の門を移設したものです。

公式HPの施設案内にあるこの正門前に狛犬然として並ぶ二体の羊の石彫を、以前から見たいと思っていたのです。
よく似たものを、以前、東京の根津美術館庭園でも見たことがあるのですが、こちらは立ってる位置が位置だけに、現役感がありますね。
野仏庵正門
さいわい一般公開日でしたので(弁柄の壁が美しい母屋でお抹茶がいただけます。500円。ほっとしますよ)、門の中に入って、後ろ姿の写真も一枚。
後ろ姿
さらにアップも。
横顔
いや、堪能しました。
ご縁がありましたら、ぜひぜひ。

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アントニオ・マリネッティ 「少年と羊」

ひつじ話

「少年と羊」

全国六都市を巡回中の「世界遺産ヴェネツィア展」を見に出かけたところ、思わぬ羊に出会ってしまいましたので、ご注進です。18世紀、アントニオ・マリネッティによる「少年と羊」、コッレール美術館所蔵。
こちらの展覧会は、このあと、2012年3月4日(日)まで名古屋市博物館、3月17日(土)?5月13日(日)宮城県美術館、5月26日(土)?7月16日(月・祝)愛媛県美術館、7月28日(土)?9月23日(日)京都文化博物館、10月6日(土)?11月25日(日)広島県立美術館を巡回するようです。

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牧羊うさぎ走る。

ひつじ画像・映像


もりもとさんから、you tubeで見られる牧羊うさぎの映像を教えていただきました。ありがとうございます。
こんなにかわいいウサギに追いかけられて、ちゃんと羊が怖がってるところが、不思議というか、すごいというか。がんばってます。

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