2006年06月13日

●戻ってきたヒグマに戦々恐々

 フランスとスペインの国境沿いにあるピレネー山脈では、ヒグマはほぼ絶滅したと見られていた。実際には数体のオスがいるが、メスが最後に目撃されたのが2004年11月である。そのメスは地元の羊飼いに撃たれて死んだ。

 しかし、フランス・スペイン・アンドラの3カ国は5月22日に協定を結び、約15頭のヒグマを野生に帰すことになった。4月末までにすでに3頭のスロベニア熊がフランス側から自然に戻されている。

 これに驚いたのがピレネーの羊飼いたちだ。彼らは、羊を襲うヒグマの復活に猛反発している。5月23日には約200人の羊飼いが集まってデモが行なわれた。ヒグマ復活反対派は、ヒグマは世界で約20万頭おり、決して絶滅の危機にはないと主張している。

 これに対して、地理学者のファリド・バンハモウ氏は、ピレネーは、羊飼いやハンター、ハイキング客などの希望に沿ってかなり人工的な場所に変換されてきており、彼らの経済的利益優先の主張が野生動物との共存を困難にしている、と語った。また、氏は、ヒグマの住んでいる地域には羊が約30万頭いるが、このうちヒグマに殺されるのは年間わずか200?400頭に過ぎない、と指摘した。

 しかし、ピレネーのフランス側の羊飼い、ビンセント・グレイズ氏は、こうした計算には意味がないと反論する。なぜなら、ヒグマは羊を一頭一頭ねらうのではなく、常に同じ群れを襲うからだ。「もし私の群れが500頭で、熊が毎年30頭を殺すとしたら、それは大きな経済的問題だ」。

 ヒグマとの共存をめぐる論争をピレネーから報告する。

ひつじnews at 2006年06月13日 13:49 | Category : ひつじ事件
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