エンデュミオンの神話

ひつじ話

エンデュミオーンは美青年で、ラトモス山の上で羊飼いをしていた。
ある静かな、晴れ渡った夜のことである。
月の女神アルテミスが下界を見下ろしていると、この美青年が眠っている姿が見えたのである。
すると、そのずばぬけた美しさに処女神の冷めた心も暖められてしまい、彼のいる下界に降りて、彼に口づけをし、眠っている間、そこで見守っていたのだった。
別の伝説によると、ゼウスが永遠の若さに永遠の眠りを結び合わせて、この青年に贈ったともいわれている。
こうした贈り物を授けられた人物に関して、特に記録されているような冒険譚もないのである。
伝えられるところによると、この美青年が眠っている間に、その資産が盗み取られることがないように、アルテミスが気を配ってやったという。
というのは、女神が彼の家畜の群れを増やし、羊や子羊たちを野獣から保護してやったからである。

先日ご紹介したフラゴナール「ディアナとエンデュミオン」の由来となったギリシア神話を、トマス・ブルフィンチの「ギリシア神話と英雄伝説」から引いてみました。
羊飼いが眠っているあいだ、羊の世話は月の女神がしているようです。

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星曼荼羅

ひつじ話

星曼荼羅 星曼荼羅(部分)
平安朝時代にはいって、弘法大師、伝教大師などが唐にわたり、真言宗や天台宗を開いた。
これらの宗派は密教と呼ばれ、真言秘密の法という言葉があるように、いろいろ呪術的な儀式が行われた。
その1つに星祭りがある。
(略)
星を図像化した絵を祭壇にかかげて祭るのである。この絵図が星まんだらである。
(略)
星まんだらの中では北斗が最も重要であるから、北斗まんだらとも呼ばれる。
しかし星まんだらには北斗だけが図像化されているわけではない。
このほかに九執曜、十二宮、二十八宿が図像化されて、1図の中に描かれているのが普通である。
九執曜というのは、日月五星の7つの外に、羅喉星、計都星を加えて9つとしたものである。
後の2者はインド伝来の天文学によったもので、インドでは黄赤道の両交点にこの2つの星があって、これに隠されて日食や月食が起ると考えた。
十二宮はもちろんバビロンにはじまる黄道十二宮を図像化したものであり、二十八宿はインドおよび中国で行われたものである。
したがってこの星まんだらにはバビロン、インドなどの天文学の影響が存在しているといえよう。
(略)
星まんだらの源流はおそくとも唐代の中国にあり、それが平安朝のころにわが国にはいって、当時書かれたものが相当残っている。

野尻抱影「星座」より、星曼荼羅の解説部分です。左やや上の円の中に牡羊座。
現在拝観が許されている星曼荼羅がないか調べてみましたら、6月30日まで法隆寺で開かれている「法隆寺秘宝展」の展示品リストにありました。見に行けると良いのですが。
その他、やや強引ながら日本の星図つながりということで、司馬江漢の「天球図」もご参考にぜひ。

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