クロムウェルの牧歌願望

ことにもし〈牧歌願望〉とでもいうべきものを考えるなら、それはあきらかに庭園隠棲の願望と同次元のものであったと理解すべきである。
牧場も庭も、いわゆる中間的景観として、人類にとって普遍的な快楽原則の空間たりえた。
あのクロムウェルですら、長い困難な公人としての奮闘の生活に倦み疲れたとき、つぎのように彼の〈牧歌願望〉を表現している。
「(略) こんな地位を得るよりは、森陰に住んで、羊の群を飼っていたほうが、ずっと嬉しかっただろう。」
しかしこの後にクロムウェルは、一言ドスの利いた言葉を付け加える。
「私はこれを、国家の安全のために引き受けたのだ」と。

川崎寿彦による英国庭園史から。17世紀、清教徒革命に関わる一章に、オリバー・クロムウェルの議会解散演説との註釈がついた一文が。

ひつじ話

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